【鉄旅タレント木村裕子の日本全国おもしろ鉄道】終点の極楽橋駅に着いてから思い出してしまった仰天事実

2019年09月03日 16時00分

 プロ野球などで「記録より記憶に残る選手」と表現されることがよくありますが、私もこの言葉を乗り鉄で取り入れ、肝に銘じていることがあります。それは失敗から学んだことでした。
 
 日本国内鉄道全線完乗(プロフィル参照)を目指していたころ、私は乗車した路線を分かりやすく記録、整理するため、記憶を頼りに路線図の乗車済み部分をペンで塗っていました。すると和歌山県の高野山ケーブルカーに乗っていないことが分かったので、さっそく乗りに行ったんです。
 
 高野山ケーブルカーに乗るには、まず関西の大手私鉄・南海電鉄の観光列車「天空」で、南海高野線の終点に向かいます。この列車は山深い急勾配の斜面と、24ものトンネルを抜けて、山岳地帯をぐんぐん登山して進んで行くんです。
 
 車内もおもしろい! コンパートメント席以外は、全ての座席が景色のいい片側の窓を向いていて、映画館のような配列になっています。もともと通勤列車として使用していた車両を改造し、乗降口部分には柵を付け、走行時はドアを開けて走る展望デッキも付いているんです。
 
 標高が上がるにつれて、入ってくる風の温度が冷たくなっていくのを肌で感じられ、と~っても気持ちいい♪
 
「昔は歩いて高野山まで参拝へ行っていたのに、いまは観光しながら列車が連れてってくれるなんて“極楽”だな~」と思いつつ、終点の極楽橋駅に到着したのですが…。
 
 ケーブルカー乗り場の景色を前にあぜんとしました。
 
「ここ、前に来たことある!!」
 
 実は私、数年前にこのケーブルカーに乗車していたんです。改札口の風景を見て、当時の記憶が一気によみがえりました。わざわざ乗り潰しのためにここまで来たのに…と、落胆したこの時、「1路線1思い出」と銘打って、新しく乗る場合は必ずそこで、食事・観光・温泉…、何でもいいので思い出を作ることに決めたんです。
 
 これを私は「記録より記憶に残る乗り鉄」と勝手に呼んでいます。
 
 ここで木村ポイント! 一時は落胆しましたが、せっかく来たし♪ともう一度、高野山ケーブルカーに乗車しました。高野山の総本山・金剛峯寺へ参拝に行き、多くの有名武将が眠るお墓もめぐって織田信長、明智光秀、石田三成にごあいさつ。神聖な空気をたくさん吸い込み、思い出を作って「記録より記憶に残る路線!」と心にインプットしてきました。
 
 それでは、あなたの記憶にもきっと残るほどステキな列車「天空」に乗ってから高野山ケーブルカーへ、出発進行!
 
 (毎週火曜掲載)
 
☆きむら・ゆうこ=1982年8月17日生まれ。愛知県出身。鉄道をこよなく愛する鉄旅タレント。2015年にはJR、私鉄、地下鉄、ケーブルカー、モノレールなど、日本全国にある鉄道を全線乗車する「日本国内鉄道全線完乗」を達成。乗車した走行距離は約2万8000キロメートル。