【鉄旅タレント木村裕子の日本全国おもしろ鉄道】日本にたった1か所! “かくれんぼする橋”

2019年08月06日 16時00分

かつて国鉄士幌線が走っていたタウシュベツ川橋梁は、いつ見られるか分からない絶景廃線跡です!

 雑誌の表紙やポスターに載っている“絶景鉄道風景”によく採用されるものとして、鉄橋の上を列車が走っている写真があります。バックに海がバーン!と広がっていたり、山に囲まれた中をさっそうと走る絵は見ていて、とっても癒やされますよね。その場所に行けば、雑誌と同じ写真が撮れる…と思いきや、日本に1か所だけ“かくれんぼする橋”があるので、要注意です!

 そこは北海道の帯広駅からバスか車で約2時間の場所にある“タウシュベツ川橋梁”です。実はこれ、まだ国鉄の時代に走っていた士幌線に使われていたもの。現在は廃線になり、列車は走っていません。でも美しすぎる風景のため、今でも鉄道ファンの間では人気スポットになっているんです。ただ、行けば必ず見えるというわけではないため“幻の橋梁”とも呼ばれています。

 その理由はダムの中にあるからなんです。1955年、タウシュベツ川橋梁周辺に糠平ダムの建設が決まり、なんとタウシュベツ川橋梁はダムの底に沈む運命になりました。士幌線はダムを迂回する形で新線が建設されたんです。

 こうしてダムの中に沈められたタウシュベツ川橋梁は、ダムの水位によっては見られる時もあります。通年予測では、ダムの水位が上がる6月ごろから沈み始め、8~10月には完全に水の中に“かくれんぼ”。水位が下がる1月ごろから、また姿を現すというサイクルになっています。でも、ここ数年は雨量の関係で、そのサイクル通りにはならず、“見えるか見えないかは運次第”という激レアの風景になっているんです。

 一番キレイな写真が撮れるのは、水が1メートルほど張っていて、水鏡にアーチが映り込み、めがね橋のようになる時。私も運試しを兼ねて7月に行ってきました! すると、なんと通年予測に反して水がなく、ダムの底には草が生えているではありませんか! おかげで、周りをグルッと歩いて見学できました。

 この橋梁は補修を行わず、自然の姿のまま立っているため、年々劣化して徐々に崩れているそうです。だから、きれいにつながったアーチ橋の姿に会えるのは、あと数年くらいともいわれています。

 ここで木村ポイント! この場所に行くには、熊が出るジャングルのような危険な道を許可された車でしか通行できません。どうしても見たい人は「NPO法人ひがし大雪自然ガイドセンター」のツアー参加(大人3500円)がおすすめです。

 ガイドさんが詳しく案内してくれて自由散策時間もあるので、歴史を学ぶこともできますよ。それでは、恥ずかしがり屋がかくれんぼする幻のタウシュベツ川橋梁へ、出発進行!

 (毎週火曜掲載)

☆きむら・ゆうこ=1982年8月17日生まれ。愛知県出身。鉄道をこよなく愛する鉄旅タレント。2015年にはJR、私鉄、地下鉄、ケーブルカー、モノレールなど、日本全国にある鉄道を全線乗車する「日本国内鉄道全線完乗」を達成。乗車した走行距離は約2万8000キロメートル。