【鉄旅タレント木村裕子の日本全国おもしろ鉄道】滑走路と線路の幻コラボ

2019年04月16日 17時00分

境線には鬼太郎列車が走っています
 新元号が「令和」に決まりましたが、後になって他にも候補がいくつかあったと判明し、物議を醸しました。でもどんなことでも、新しいものを作る時はいくつか案を出し、その中から一番良いものを選ぶものだと思います。もちろん鉄道界も同じ。そこで過去にあった、“ボツになったけど、もし実現してたらすごい案”を紹介しちゃいます!
 
 それは2008年、鳥取県で起こりました。米子空港が、滑走路を500メートル延伸することを決めた時です。米子空港はそれまで中型ジェット機まで離着陸ができる空港でしたが、この延伸により長距離を飛ぶ大型機も離着陸できるようになり、国際便を利用することが可能になったんです。でも大問題が発生。滑走路を500メートル延ばしてしまうと、そこにはJR境線が走っているんです。
 
 そこで「さて、どうしよう?」と対策会議が始まりました。出た案の一つが「滑走路と線路を十字に交差させて、列車が通る時だけ滑走路を封鎖しよう」というもの! 列車の本数は30分~1時間に1本程度、飛行機もそんなに頻繁に離着陸しないため、不可能な案ではありません。線路も現状のまま使えるし、建設コスト削減にもなる。損はなさそうですよね?
 
 ですが結果的にこの案はボツとなり、JR境線が滑走路を迂回するよう、新しく線路を付け替える案が採用されました。もし実現していたら日本初の飛行機と列車コラボになっていました。きっと“おもしろ名所”にもなっていたはずなのに! もし私が当時の決定権を持っていたら、絶対にこの案を採用してました(笑い)。
 
 ここで木村ポイント! 境線はマンガ「ゲゲゲの鬼太郎」の生みの親、水木しげるさんの出身地である境港市と米子市を結ぶ路線ということで、鬼太郎列車が走っています。そのため滑走路延伸開始式典で鳥取県知事が「一反木綿もサンタクロースも降りられるようになった」とあいさつしました。
 
 路線の各駅の愛称に妖怪の名前が付いています。米子空港駅は、夜道を歩いている時に後ろからついてくる妖怪の「べとべとさん駅」。もし後をつけられてしまったら「べとべとさん、先へお越し」と言うと足音がしなくなるそうなので、その時はお試しください。
 
 それでは滑走路と線路は惜しくも交差はしなかったけど、列車の中から間近に飛ぶ飛行機が見られる境線の米子空港駅へ、出発進行!
 
 (毎週火曜掲載)
 
☆きむら・ゆうこ=1982年8月17日生まれ。愛知県出身。鉄道をこよなく愛する鉄旅タレント。2015年にはJR、私鉄、地下鉄、ケーブルカー、モノレールなど、日本全国にある鉄道を全線乗車する「日本国内鉄道全線完乗」を達成。乗車した走行距離は約2万8000キロメートル。