福本伸行氏「勝負に自分の身を投じたい」

2011年09月23日 14時00分

「アカギ~闇に降り立った天才~」「賭博黙示録カイジ」等、大ヒット作を生み出す“ギャンブル漫画のカリスマ”福本伸行氏(52)が実際に麻雀やギャンブルに興じる姿を見たことはあるか? このほど「麻雀最強戦」(竹書房主催)の予選トーナメントに参加中の福本氏を直撃! 惜しくも決勝進出はならなかったが、気になる“リアルアカギ”の麻雀歴、ギャンブル観とは――。

 ――麻雀はよく打たれるのですか?

 福本:この大会に出たり、(漫画家の)片山まさゆきさんが主催する大会で打ったり。平均で月1~2回かな。まあ、実際に打つのと描くのは違うよね(笑い)。麻雀最強戦は見ている人もいるから緊張するけど、特別な緊張感で楽しいよ。

 ――麻雀との出合い

 福本:中学の時かな。かざま(鋭二)先生のアシスタントをしてた18~19歳くらいの時は打ってたね。仕事が終わった後に半チャン2回とか。

 ――そのころから麻雀を題材にしようと

 福本:いや、全然(笑い)。僕が24~25歳のころかな。そのころは景気も良くて麻雀やパチンコ雑誌がたくさんあった。新人が仕事を取りやすかったんで、一つのジャンルとして“ギャンブル”を選んだ感じかな。

 ――それが今や“ギャンブル漫画のカリスマ”として大ヒット作を生み出す。「アカギ」「カイジ」は長期連載中です

 福本:予想もしてなかったよね。少しずつ仕事をもらおうかなぐらいの感じだったから。でも、長い連載でアカギもカイジもキャラが立って、読者にとっては“友達”みたいになっているんだなあ…って感じてます。

 ――キャラクターは人生経験から生まれた

 福本:ある程度影響はあると思うけど、特別なことはないよ。それよりも「人間とはどういうものか」「カッコいい人間とはどういうものか」みたいなことを考え続けた結果、生まれた感じかな。特にアカギはそういった思想、思考的なものから生まれた産物だね。

 ――ギャンブルが人間の本質を描く上で適切だったということ

 福本:そう思うよ。ギリギリのシーンを演出しやすいし、当然人間の本質も出やすい。サッカーや野球ではなかなか“生き死に”って話にまでならないじゃない?

 ――先生自身はやっぱりギャンブルが大好き

 福本:嫌いじゃないし、好きっちゃ好きなんだけど…ぶっちゃけハマっていることは全然ないよ(笑い)。これだけ生きてればパチンコや競馬もやったことはあるけど、どちらかといえば、麻雀や大小や、ブラックジャックが好きかな。競馬は馬が走るのを買うでしょ? 馬券を買う判断はあるけど、麻雀は自分の判断で勝ち負けが決まる。馬や人に任せるんじゃなく、僕は勝負に自分の身を投じたいんだよね。

 ――命をかけるアカギやカイジのよう…。でも、日常で“生き死に”をかける機会はない。どこにファンは共感を

 福本:そこまでいかずとも、ただ生きてるだけの日常でも人は自分の甘さ、弱さ、ズルさに気づかざるをえない時…アカギやカイジから学んだ?「こんな時はこういう心構えでやるんだ」「泣き言、言っても変わらねえ」「諦めなければ何かが起きる」みたいな。読者は彼らを通して感じているのかもしれないね。

☆ふくもと・のぶゆき=1958年12月10日生まれ、神奈川県出身。80年「よろしく純情大将」でデビュー。代表作は「アカギ~闇に降り立った天才~」「天」「銀と金」「最強伝説黒沢」など多数。「賭博黙示録カイジ」で98年に第22回講談社漫画賞を受賞。

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