【週刊Mリーグ】岡田紗佳&丸山奏子 成長著しい女流雀士2人の〝進化の一打〟

2021年06月23日 18時30分

岡田プロ、丸山プロの進化がわかる一打!
岡田プロ、丸山プロの進化がわかる一打!

【〝レジェンド雀士〟土田浩翔が選ぶMリーグこの一打・麻雀は人なり】麻雀プロリーグ創設当初から解説者として対局を間近で見てきた土田浩翔プロが「麻雀は人なり」という観点でMリーグ2020を振り返る。今回は、30人いるMリーガーで最年少、成長著しい女性2人に注目。“役満ボディー”の現役モデルで本紙の連載でもおなじみKADOKAWAサクラナイツ・岡田紗佳プロ(27)と、同学年の赤坂ドリブンズ・丸山奏子プロ(27)だ。プロとしてのキャリアは短いものの、並み居る強豪の中で2シーズンを戦い終えた2人の“進化の一打”とは?

 岡田プロの進化が明確に分かる一打は、セミファイナル(準決勝)で6万点オーバーの勝利を挙げた試合にありました。

 東3局、すでにリードしている段階での第1打は、配牌で来た西、白、中といった字牌ではなく、迷うことなく9索でした(写真1)。昨シーズンまでの岡田プロなら、字牌の整理に始まり、次に孤立している数牌を切って、今ある数牌を残しておけばなんとかなるでしょという感じで打っていたのですが、今シーズンは明らかに違いました。

 その後、河に3萬が1枚切られていたこともあったかもしれませんが、西を置いたまま1・2萬というペンチャンを先に処理していきます(写真2)。もしも3万が来たら一気通貫になるかもしれないので西を切りたくなるところですが、“もしも”を考えずに西を抱えながら1萬を切っていく。ここが大きな進化で、目の前にある手牌を見ているのではなく、数手先の見通しが立っているからペンチャンターツを外していけるのです。

 この局は6巡目にKONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大プロがリーチをかけてきます。岡田プロは手牌に残していた西を安全牌として使いながら手牌を進行させ、11巡目にピンフ・タンヤオ・ドラ2・赤のテンパイにこぎつけ、ヤミテンのまま押し切って4萬をツモって跳満に仕上げたのです(写真3)。

 麻雀は中盤ではなく、とにかく序盤が大事なので、序盤がしっかりしている若い打ち手は飛躍的に伸びていきます。単に孤立した字牌を紋切り型に切っていくようでは上達しません。なんとか字牌を1~2枚置きながら、数字の牌を先に処理できるようになっていくと、めきめき腕が上がっていきます。

 一方の丸山プロが、今シーズン最も進化したのは「序盤の手組み」です。

 1~6巡目という序盤の段階で、配牌から少しでも早くテンパイに近づけるためだけの麻雀ではなく、最終形をどこに求めればアガリに結びつけられるのかを模索するシーンが多く見受けられるようになりました。

 テンパイとアガリには天と地の差があり、テンパイするだけならただの穴埋め問題ですが、アガリ切るためには、アガリがどこにあるのかを序盤の段階で探しておかなければアガれません。そこに気づけたことが大きな進歩。象徴する一打が、セミファイナル(準決勝)で初勝利を挙げた翌々日に出場した試合の南1局にありました。

 この試合はKADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾プロが抜け出し、丸山プロは追いかける立場。写真4の手牌から、萬子のホンイツを見つつ、遠くに三色同順も見ながらリャンメン待ちを作っていきました。最終的にはアガりには結びつきませんでしたが、南を手牌に残しながら、5・6索を外してマンズのホンイツに向かったのです(写真5)。
 
 進化を感じられるのは第1打で南を切らずに、1筒、3筒とカンチャンを払っていったところです。もしも2筒が来たら裏目になるわけですが、この“もしも”を考えなくなったのです。

 北家の丸山プロは場風の南を使いたいから置いているのではなく、字牌がどういう動きをしているのかを考えながら打っています。安全牌として使える字牌を残しながら、待ちの悪い形を先に外し、アガリが望めそうな形を探しに出かけていくという打ち方に進化していたのです。

 この辺でアガれそうかなとわかってくるのは、だいたい河に20枚近くの牌が見えてくる7~8巡目以降です。同じ字牌でも、安全牌として使える字牌と、仕掛けられないようにしておくべき字牌の区別が、相手の河から見えるようになってきた。要するに自分の手牌だけを見る麻雀から、相手の河も見る麻雀に変わってきたということです。昨シーズンより、河の状況や相手の出方に対応する引き出しも増えているなと感じた一局でした。

 岡田プロも丸山プロも昨シーズンまでは何ひとつ逃したくないということだけを気にしていた麻雀で、プロとしてはビギナーでした。しかしそこからは卒業し、今ではもっと先を見据えて、こんなアガリをしたいと序盤から意志を持って打つようになっています。

 こういった視点の広がりは、耳で聞いて身についたというより、チームメートの先輩たちの麻雀を近くで見ていたことで進化していったような気がします。

 ☆つちだ・こうしょう 1959年、大阪府生まれ。血液型=B。最高位戦日本プロ麻雀協会特別顧問。Mリーグをはじめ「THEわれめDEポン」等、メディア対局にも数多く出演。札幌、東京、埼玉、大阪、広島、福岡で麻雀教室を開講中。著書は「『運』を育てる 麻雀界の異端児 土田浩翔の流儀」(KADOKAWA)ほか多数。

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