【週刊Mリーグ】「2019シーズンの名場面」を“麻雀サイボーグ”小林剛が振り返る

2020年09月23日 13時30分

当たり牌である2萬を止めた開幕戦南3局0本場(写真上)熟考の末、赤5索をツモ切った場面(同下)

【特別企画・トップMリーガーインタビュー】シーズンオフにお届けしている特別インタビュー企画。プロ麻雀リーグ「Mリーグ」2019シーズンを制した「U―NEXT Pirates」の“船長”小林剛が、視聴者を驚かせたアノ選択を振り返る。2シーズン目の手応えや、チームメートとの関係についても明かしてくれたぞ。

 ――昨シーズンを振り返って、印象に残っているシーンはどれですか

 小林 シーズン開幕戦の1回戦(昨年9月30日・南3局0本場)で、魚谷(侑未)さんのリーチに対してアタリ牌を止めて、同じく通っていないドラを切ってしのいだことがありました。

 ――あの場面は驚きでした。誰もが放銃したかと思いましたから

 小林 あれは魚谷さん、白鳥(翔)さんの読みとか、この点数状況だったらこう打ってくるはずだみたいな、いろんな総合的なものからやりました。両方危険で通っていないドラの1萬か、ドラじゃない2萬かで、萬子112から手が安くなるドラの方から切って。それがよくできたなとは思っていますね。開幕戦だったことで、あれを見てくれた人もみんな気を引き締めてくれたんじゃないかなと。結果的に他のチームにもいい影響を与えられたかもしれないです。

 ――Piratesにとってレギュラーシーズン最終日(3月6日1回戦南2局1本場)の赤5索切りも大きな話題になりました

 小林 ボクよく忘れちゃうんですけど(笑い)、よく言われます。2345から赤5索を切ったおかげで一人聴牌(テンパイ)になったというのがあって。高くなる大チャンスなんですけど、まだ点数がたくさん必要な状況で、2345から2を切れば高くなるのに、赤5を切った。それは単純に2より5の方が安全だから切っただけなんですけど。やっぱりそこで「勝ちたい、勝ちたい」「高い手が欲しい」という感情が先行すると赤を残しちゃうんです。

 ――赤5索を残せば親の満貫が確定なので、どうしても残してしまうのですが…

 小林 赤を切ると、東と南と9索の対子が3つあって、9索ポン、役牌ロンだと5800点になってしまう。でも赤じゃない2索を切ると12000点確定になる。5800じゃ嫌だから2索切っちゃうよ、という人が多いんですけど、これも冷静になって考えると9索ポン、東ロンって状況を考えるとできないんですね。少なくともどっちか1個は暗刻にしないと。ポン、ロンはできない。1個暗刻にするとなるとそれは5800じゃなく、符が上がって7700点になるんです。最低でも7700の手。役役の手だったら12000だから、あの手は5800にはなりようがなくて、7700から12000の手であると。そう考えると、劇的に安くなる一打ではないですね。7700から12000って、要するにあがれば1万点くらいになる。2索を切れば12000点確定。赤5索を切れば1万点くらい。そう考えると絶対に落とせない局面なので、安全な赤5索を切った方がいいのです。

 ――チームは前々シーズンは5位でファイナルに残れませんでしたが、昨シーズンは優勝。小林選手個人もポイントを大きく伸ばしました。何か変化はあったのですか

 小林 そんなにはないんですけどね。シーズンのない期間も朝倉(康心)、石橋(伸洋)とは麻雀をしていたので、いい影響を受けているかもしれないです。朝倉、石橋の影響でちょっと読みを重視するようになったところはあるかもしれないですね。萬子と筒子どっちを切るかで、形だけだったら筒子を切るんですけど、筒子の方がツモれそうだから萬子を切ろうとかいうふうに手順を変えるみたいな。場に対応して切る牌を変えるみたいなのがちょっと増えた気がします。

 ――手応えはつかみましたか

 小林 麻雀って結果に直結するものではないので、良くなったかもしれないし、変わってないかもしれないけど、思い切ってそういう選択はできるようになったかとは思います。

 ――昨シーズンから新たに瑞原明奈選手がチームに加わりました

 小林 4人になって練習するようになって、みんなであーだこーだ言い合うようになり、僕だけじゃなくて4人全員が強くなったと思いますね。

 ――あまりイメージがないのですが、あーだこーだ言い合うのですか

 小林 結構言いますね。「これ切っちゃダメだろう」とか「これ押し過ぎだろう」とか。途中や一局終わってから手牌を開けてみたりとか、4人開けたままやってみたりとか、いろんなやり方は試しました。ネット麻雀で打って後で検討したりとか。自粛期間はネット麻雀でけっこうやってました。うちのチームだけじゃなく、麻雀プロ全体に言えることなんですけど、麻雀となると熱くなるやつが多いですね。チームワークはいいと思いますよ。みんな一緒に練習して、一緒に強くなった意識は強いと思いますね。 

 ☆こばやし・ごう 1976年2月12日、東京都生まれ。麻将連合プロ。第1、2期天鳳名人位。第3、7、9期将王。第3回野口賞。RTDリーグ2018優勝。MリーグではU―NEXT Piratesにドラフト1巡目で指名され、2019シーズンで優勝。ツキや流れなどの曖昧な理論を嫌う“麻雀サイボーグ”として、その実力を認められているトッププロ。