【週刊Mリーグ】〝麻雀サイボーグ〟小林剛が明かす「鳴きの真実」

2020年09月05日 12時00分

6月15日1回戦南1局1本場。断然トップだったが、ガンガン鳴いて鳴いてアガリきった

【特別企画・トップMリーガーインタビュー】チー、ポンの秘密は? プロ麻雀リーグ「Mリーグ」2019シーズンを制した「U―NEXT Pirates」の“船長”小林剛といえばアノ戦術。特別インタビューでじっくり話を聞いてみると、本人はさも当然のように…。

 ――小林選手といえば、「鳴き」が代名詞になっています。いつから今のスタイルになったのですか

 小林 覚えたてのころからですね。高校1年くらいです。むしろ手が進むものを鳴かない方がボクは不思議で。麻雀って手を進めていって、最初にアガった方が勝ちというゲーム。むしろ手が進むものでももらわないという方が異常だとボクは思ってますよ。

 ――Mリーガーは面前高打点派が多いからこそ、小林選手のスタイルが際立っています

 小林 面前高打点の方がはるかに難しいと思っていて。例えば中が2枚手の内にあって、場に3枚目が出た。これもう3枚目ができたということです。できたのを拒否して進める方がはるかに難しいですね。中国人と麻雀をやったことがあるんですけど、中国ではリーチがなかったりするので、メンツができるものは鳴くのが当たり前なんです。バラバラでもここは鳴かないとアガれないな、というのは鳴くんです。

 ――日本とはちょっとルールが違う中国麻雀の主流派は鳴き麻雀だったんですね

 小林 その人から見ると、ボクなんかは鳴かなすぎなんですよ。中国人を見て「あ、そうだよな、麻雀ってこうやって打たなきゃな」と思うくらいですね。ルールは多少違っても、4メンツ1雀頭を作って先にアガって点数をもらうというゲームなので。日本の麻雀はリーチの価値がでかいので、ちょっとだけ鳴かない価値は上がるんですけど、それにしても中国人のあの麻雀を見ると僕なんかは怖がりすぎじゃないかと思えるくらい。

 ――ただ、鳴きを多用する麻雀は、手牌が短くなるので難しいイメージです

 小林 ボクは鳴いたらできているものを拒否して高くする方が難しいと思いますね。

 ――小林選手がこれだけ鳴いて勝てるのは、守備が強いからだと言われています

 小林 それもよく言われてて。小林は守備力があるから鳴けるんだよと言われるんですけど、それは逆ですね。ボクは鳴いてたくさんアガるので、守備に回る局面が少ないんですね。普通の人よりボクが3%アガリが多いとすると、相手3人は1%ずつ下がっているんですね。そうするとボクの振り込みも減っているはずなんですね。アガリが減っている人たちを相手に、自分の振り込みだけが増えるかというとそんなことはなくて。多分自分のアガリが増えると、相手のアガリが減り、相手の聴牌(テンパイ)の前にアガリ切る。結果、ボクの振り込みが減るんです。アガることによって、振り込みを回避している。

 ――守備が強いのではなく、鳴いて早くアガって守備機会を減らしているということですね

 小林 鳴いて手牌10枚とかの方が選択肢は少ないし、何点ぐらいになりそうかなとか、この手アガれそうかなというのが分かりやすいんですよ。だからそっちの方が押し引きを間違えないですね。鳴いて1000点の一向聴(イーシャンテン)の場合と、鳴かないで5200点から8000点くらいになるかもしれない二向聴の場合だと、二向聴の方が難しいんですよ。選択肢も多いし、押し引きも難しいし。でも鳴いて1000点にしかならない一向聴だと簡単なんですよ。

 ――小林選手は鳴いた後の押し引きのうまさに定評があります

 小林 鳴いた後の押し引きがどうこうと言われているのはかなりの間違いだと思っていて、鳴いた方が選択肢が少ないし、手牌の未来も分かりやすい、しかもアガリも近いので間違えにくいですね。あと鳴いてた方が押し返してきてるかもわかりやすいので、相手のやる気も測りやすいし、自分の手牌も間違えにくい手牌になっています。

 ――ほかのプロも小林選手の守備力を絶賛しているので、守れるから鳴いているのかと思っていました

 小林 守備力があるからと解説されて「いや、違う違う」と。鳴かないで頑張ってる村上(淳)とかの方がよっぽど守備力がありますよ。守備力がないから、鳴いてアガっているんです。その結果、振り込みが減るんです。3巡目リーチとかきたらしようがないですね。そうすれば鳴いた中を取っておけばよかった、となりますけど、でもそんなにしょっちゅうはないですから。 (来週に続く)