【週刊Mリーグ】2019シーズン覇者“麻雀サイボーグ”小林剛が語る逆転優勝への愚形リーチ

2020年08月22日 12時00分

熱戦を振り返った小林(撮影場所=東京・渋谷のエンジョイ マージャン エフ)

【特別企画・トップMリーガーインタビュー】プロ麻雀リーグ「Mリーグ」を徹底追跡する当欄は、シーズンオフの今、トップ選手のインタビューをお届けしている。今週からは、2019シーズンを制した「U―NEXT Pirates」の“船長”小林剛が登場だ。まずは、冷静沈着な“麻雀サイボーグ”に、逆転優勝を決めたファイナルシリーズの戦いを振り返ってもらおう。

 ――Piratesの優勝、おめでとうございます! まずはシーズンを振り返ってください

 小林 セミファイナル、ファイナルと、ずっと通過と敗退ギリギリのところで、優勝しそうだという瞬間がなかったのですが、まあでも通過しておけば何とかなるだろうとずっと思い続けていました。実はファイナル最終日開始時が一番厳しくて、連勝条件になっちゃったので、そこが一番きつかったところではあります。やるべきことをやって優勝できたのかなと思います。

 ――優勝の予感はまったくなかったのですか

 小林「いけそうかな」というのは最後までなかったですね。最後の最後、しかも逆転のリーチが入っちゃったので、ツモ番がなくなるまでは、まったく勝てそうな瞬間はなかったですね。

 ――セガサミーとの着順勝負となったファイナル最終局のオーラス、魚谷侑未選手からリーチが入りました。魚谷選手がツモるか、小林選手から満貫以上の直撃で逆転でした。当たり牌の發がいつ出てもおかしくなかったように見えたのですが

 小林 より安全な牌があったんですけど、結果的に次に手詰まったら危ないなという發があって、發よりちょっと安全な牌がちょっとずつ増えてきたので助かったんですね。魚谷さんのリーチはかなり考えてのリーチだったので、たぶん条件の確認だったんですけど、ひょっとしたら高目と安目があったりして難しいケースがあるんですよね。となるとシャンポン待ちの役牌というのは高目になりやすいので、役牌の發はまあまあ後回しになるんですね。リャンメンに当たらない牌がいくつかできたら、その中では發は後回しになるんですね。実際にあの局面は8萬も4枚見えたので、9萬もほぼ安全な牌で、9萬と發のどっちのトイツを切るかの選択になると、おそらく役のつかない9萬を切っていたと思うんで、結果的に安全牌が増えて助かったという感じですね。

 ――最終局の南2局、トップ目でカンチャン待ちのリーチをかけてアガったシーンも印象的でした

 小林 トップ目なのであと2局、安全に流せばいいんですけど、そうすると愚形リーチってやりづらいんですね。捨て牌と場況と手格好からは絶対にリーチした方がいいんですけど、リーチ後に親に満貫とか打ったら台無しになるような状況です。それでも愚形リーチをちゃんとかけられた。それは良かった。カン6筒でテンパイして、それを外してカン8筒になって、「この待ちでこの場況なら絶対にリーチだ」と行ったんですね。固いだけの人だったらカンチャン待ち全部外しちゃう。ちょっと待てばリャンメンになるから全部外しちゃう人も多いと思うのですが、そこはカン8筒なら上がれると思って非常に怖い局面、無難に終わらせたい局面だけど、リーチをかけました。

 ――それでもあの状況ではなかなかリーチに行きづらいという人の方が圧倒的に多いと思います

 小林 普段ならリーチかけられるのが、それこそ優勝賞金5000万円がかかったファイナルで、(2位は2000万円のため)振り込むと3000万円出て行ったんですよ。お金の話をすると。オーラスも魚谷さんに振り込むと会社のお金が3000万円出て行っちゃう。打ってる最中はそんなこと考えてないですけど、そういうプレッシャーのかかる状況で、ちゃんと愚形リーチをかけることができた。実はファイナルの初戦でもあったんですけど、シュンツ4つある北単騎待ちでリーチしたんです、それもトップ目で。怖がる人がいると思いますが、それもちゃんとできてよかったなと。北単騎とカン8筒のリーチを両方できたのはよかったなと思ってますね。ビビらずにちゃんとできたというのは。

 ――優勝賞金はどのように使うつもりですか

 小林 使い道は何も考えてないんですね。昔から麻雀プロやっていて、賞金50万とか100万円とか入るんですけど、賞金の使い道は?と聞かれた時に、賞金を稼ぐのが仕事なのに、それを臨時収入として使っていたら給料がないんじゃないかと。コンスタントに賞金を稼ぎ続けるのが仕事なので、それを臨時収入扱いしたらいけないと思っているので、ただの給料がちょっと多かった年みたいな扱いですね。

  (来週に続く)