【週刊Mリーグ】ミスターMリーグ多井隆晴が2019シーズンを振り返る

2020年07月18日 12時00分

疲れ知らずのカリスマは取材場所にさっそうと現れた(撮影場所=東京・渋谷の麻雀オクタゴン)

【特別企画・トップMリーガーインタビュー】プロ麻雀リーグ「Mリーグ」を徹底追跡する当欄は今週から特別企画として、トップ選手のインタビューをお届けする。2019シーズンは先日、U―NEXT Piratesの優勝で幕を閉じ、3期目となる2020シーズンの開幕(10月)も決まったが、Mリーグを語る上で、まずはこの男に話を聞かないわけにはいかない。“ミスターMリーグ”こと渋谷ABEMASの多井隆晴だ。ファイナル最終戦の翌日、疲れを見せるどころか、麻雀解説さながらのマシンガントークで語り尽くした。

 ――1シーズンお疲れさまでした! ABEMASは惜しくも2年連続で3位という結果に終わりました

 多井 うちは主人公チームなんですよ。チェアマン(注・藤田晋サイバーエージェント社長)が監督のチームですから。ユニホームにABEMAって書いてるんですよ。ABEMAで映すのに、ABEMAって入っちゃってる。こんなチームないじゃないですか。こんな主人公チーム、漫画でもドラマでも、1話2話から優勝しちゃうものがありますかって。ないでしょって。3位3位でしょ、2位1位になるか、すぐに1位になっちゃうか分かんないですけど、やっぱりそういうものなんですよ。

 ――切り替えが早い!

 多井 その日のうちに反省はしますよ。負けてる人の心理、ファイナルで言うとサクラナイツさんの心理をもう少しつかんで「こうすりゃよかったな」とかありますけど、それはそれで技術論なんで簡単に修正できますし、麻雀って本当に難しいもので。数日間で強くなったり弱くなったりするものではないんで。コツコツやっていくしかない。だから日々、練習していくのは当たり前。それはプロが話すことではないんです。毎日毎日練習して、どんどん強くなっていけばいいなあという思いは一回置いといて。だから麻雀以外のことを頑張ろうと思っていますよ。

 ――麻雀以外のことは後ほどうかがうとして…1シーズン振り返っていかがですか?

 多井 今シーズンから日向(藍子)が入って、楽屋の雰囲気はちょっと変わりましたね。昨シーズンまでは松本(吉弘)、白鳥(翔)という若い2人が、多井というレジェンドから麻雀を教わるというような、ボクを中心にボクが麻雀の話をしてそれを吸収していくというようなチームでした。日向が入ることによってファミリー感が出て、麻雀のお勉強をしっかりする中で、相当チームの輪、チームワークができたというか。

 ――日向さんは本当に明るい人なので、チームの雰囲気も良くなりますよね

 多井 チーム戦って負けた後がけっこう大事。麻雀って普通の人は4回に1回、どんなに強い人でも3回に1回しか勝てないんですね。3回に2回はまず負けるんですよ。その中で、負けた後に悔しさをバーッと出す。うちのチームは起伏が激しいのが多いので、その時ってやっぱりチームの雰囲気が悪くなるんですよ。「どんまい、どんまい」と言う方も暗くなる。暗くなった時に2戦目出なきゃいけないんですよ。そこが日向が入ったことで、全然変わったんです。「どんまい」の言い方一つでも全然違う。我々男性陣3人が女性にモテたいというかチヤホヤされたい。ヒーロー気質というか、タレント気質というか。女の子にモテたいという気持ちが強いんです。

 ――最も印象に残っていることは何ですか?

 多井 レギュラーシーズンで日向をプラス(Pt)にさせようと思っていたんですよ。内容とかどうでもよくて、プラスにさせないと日向のメンタルが危ないと思ったんですよ。僕は女性を大切にしたいんです! 特に麻雀プロは女流に助けられてきました。だったら僕が恩返ししないといけないので。僕の家庭は姉が死んじゃってるという事実があったり、母親が体が弱いということがあるので「女性を大切に生きていこう」と小さいころから育てられてきて、その時に日向をサポートできないようなチームは人気チームになっちゃいけないと思っているんで。そういう意味では日向がトータルプラスで終えられたことがすごく大きいことで、そういう意味ではチーム全体でうまくやれたなと。白鳥と松本もすごく女性に優しい。

 ――昨年、個人成績最下位だった白鳥さんも4位と大躍進を遂げました

 多井 白鳥は今年はすごく大きいプラス、去年の惨敗を帳消しするくらい勝てたんで、それも一つの収穫。白鳥が今年マイナスするようだったら、彼も続けられないというか心が持たないなと思ったので。印象に残っているのはその2つですかね。松本に関しては負けたんですけど、負けて当然なんですよ。こういう知的競技って、何かの知識を体に入れるといったん弱くなる。将棋だってそうですよ。例えば居飛車でやっている人が振り飛車に変えたら一瞬弱くなりますよ。だけどそれを覚えることで、対応が分かったりするし、なんでもそうなんですよ。体を鍛えちゃったら一瞬感覚が変わるんで、そんな感じ。でも絶対、将来役に立つことです。

 ――そういう意味では、来シーズンは松本プロにも大きな期待が掛かりますね

 多井 来シーズンになるか、その次になるか分からないけど、多井隆晴を抜いてもらわないといけないんです。想像してください。松本と白鳥が多井ぐらい強くて、僕がそのまま強かったら、多井が3人いるんですよ。多井が3人いるチームは絶対優勝しますよ。楽しみですよね。多井1人でも毎回毎回決勝に上がって、最後までいい勝負するのに。そういう意味では伸びしろがあるチームですよね。 (来週に続く)

☆おおい・たかはる=1972年3月17日、東京都生まれ。血液型=B。麻雀プロ団体・RMU代表。「最強最速」をキャッチフレーズに掲げる。Mリーグでは渋谷ABEMASにドラフト1巡目で指名され、2018シーズンでは個人スコア1位でMVPを獲得。4着回避率も3位で、シーズン終盤では4連勝を含む11連続連対を果たした。2019シーズンも2年連続ファイナル進出に貢献。最新著書は「必勝!麻雀実戦対局問題集」。