【人気モデル・岡田紗佳のもう一度見たいMリーグ】KADOKAWAサクラナイツの岡田紗佳です。このコラムが掲載される前日、今シーズンのMリーグの全日程が終了し、結果は出ていますが、執筆しているのはまさにファイナルシリーズの真っ最中です。ということで今週はレギュラーシーズンとファイナルシリーズの違いがよく出た一局を取り上げます。

 2着目の魚谷プロに3万点以上の差をつけトップ目で迎えたオーラス、瑞原プロは7巡目に發と6筒が暗刻で東、8萬、8筒が対子のツモリ四暗刻一向聴(イーシャンテン)となりました。1巡後に日向プロから8筒が切られ、ポンしたらツモって満貫、出アガリ5200点の聴牌(テンパイ)だったのですが、これをスルーしました。

 普通の場面だったら、ポンテンを取る人がほとんどです。打点も十分ですし、アガってこの局を終わらせればトップです。例えば親からリーチが来ても、安全牌は豊富に抱えており、しのぎ切れます。見ていた人はなぜ鳴かないのか、不思議に思ったのではないでしょうか。

 その理由は、瑞原プロはまだこの半荘を終わらせたくなかったからです。ファイナルS全6日間のうち、4日目の初戦だったこの試合直前のチームポイント状況は、トップがフェニックスで、2位がPiratesで約80pt差。オーラス親番で300点しか持っていない内川プロが大連荘しない限り、瑞原プロとしてはこの半荘のトップはほぼ確実。ただ2着にいるのはライバルのセガ・魚谷プロで、この順位を下げてポイント差を詰めたい。自分が満貫の手でアガるよりも、内川プロや3着目の日向プロに魚谷プロをまくってもらった方が、チームとして優勝に近いと判断したため、鳴いてアガリに向かいませんでした。ただ唯一、四暗刻になれば3万2000点(32pt)の加点になり、魚谷プロの順位ダウンに等しいポイントを稼げるため、鳴かずに大きく狙っていきました。

 全12戦しかないファイナルSは“条件戦”であり、他家の着順操作を試みる場面も出てきます。このポンテン取らずはレギュラーシーズンではあまり見られないシーンと言えるでしょう。

☆おかだ・さやか=1994年2月19日生まれ。東京都出身。モデルやグラビア、バラエティー番組などで活躍。漫画原作も手がける。日中ハーフで、6歳のころから麻雀に親しみ、2017年4月に日本プロ麻雀連盟所属女流プロ雀士となった。「KADOKAWAサクラナイツ」から指名を受け、今シーズンからMリーグに参戦。青山学院大学出身。T170・B85・W58・H83。“役満ボディー”の異名を持つ。