コロナ禍の焼肉&飲食業界は? 「肉マイスター」田辺晋太郎が注目! 自由な発想で生き残る個人店

2022年07月31日 10時00分

愛するお肉を手に最新情報を語った田辺(東スポWeb)
愛するお肉を手に最新情報を語った田辺(東スポWeb)

【田辺晋太郎の肉アカデミー・特別編】コロナ禍は行動制限のない感染拡大第7波の新たな段階となったが、焼肉・飲食業界はその中でどう変化し、今後はどうなるのか。今春まで本紙で連載していた「肉マイスター」田辺晋太郎(43)が再登場。昨秋に開店させた焼肉酒場に続き、オーナー2号店のオープンを間近に控え、「肉アカデミー」特別版として占ってくれたぞ。

 Nice to MEAT you! 春以来のごぶさた、田辺晋太郎です。今回は私が注目する焼肉・飲食業界の最新のトレンドや今後のムーブメントについてお話ししたいと思います。

 コロナ禍の2年間で肉業界は大きなダメージを負いました。和牛生産者は生後28か月を迎えた出荷予定の牛が売れず、冷凍倉庫に入り切れず、タダ同然で売られたり、屠畜予定日が延びたことで自然死してしまう牛もいたと聞きました。

 肉牛の生産は種付けから3年以上かかりますが、先が見えない状態になり、種付け、生産頭数を減らしたことで、今、良いお肉の奪い合いになっています。まん延防止等重点措置が明け、我慢していたお客さんが戻り、外食できなかったぶん、お金に余裕ができたので良いお肉を食べようと需要が急増し、手に入りづらくなっているのです(特に和牛のタン、ハラミ)。この内需に加えて、今後は海外の外需が増えることが予想されます。ステーキ用のヒレ、ロースなどの海外需要が増え、ますます価格も上がるでしょう。

 それでも焼肉店は換気設備が良いこともあってお客さんは戻り、人数制限があった時も他のお客さんと関わらない個室利用の需要はありました。1人焼肉の「焼肉ライク」、居酒屋の「和民」が焼肉に業態転換して好調なのもコロナ禍ならではですね。

 今年上半期のトレンドとしては、コロナ禍で人を雇えなくなり、大型店よりも個人店が増えたこと。ビストロ系のワンオペ(1人オペレーション)の10坪以内の店なら人件費もいらず、メニューの価格も抑えられる。来年まで予約が埋まっている人気店もあります。大箱の店は大資本でない限り、生きながらえない時代になりました。

 そんな中でも「さすがだな」と思うお店がこの7月に渋谷区東にオープンした「海老山」。肉料理で知られる「肉山」の創業者光山英明さんがプロデュースしたお店です。メニューは海老かつ丼(1200円)、かつ丼(1000円)のみで、一般的なのとは違って卵でとじないのが特徴です。ご飯の上にどんぶりの大きさの卵焼き、その上にカツかエビフライ。おいしいタレがかかっている。これだと冷めても、レンジでチンしてもおいしいからデリバリー向きですし、フランチャイズ展開も期待できます。

 コロナ禍、インフレ、原油高、ロシア問題の影響が大きい今、重要なのは特別な素材を使わないことなんです。和牛ハラミやロシアのキャビアなど、希少素材に依存するのではなく、どんなことがあっても手に入る素材で、お店がいかにおいしく味付けできるかがポイントではないでしょうか。

 これまでBSE問題、コロナ禍など予想外のことが起きましたが、飲食業界もサステナブル(持続可能)が大事。時代に合わせた変化、固定観念を捨てて自由な発想も必要だと思います。

 その点ではもう一軒。4月、渋谷にオープンした「タルタルNUMA」。白とんかつで知られる名店「成蔵」(南阿佐ヶ谷)のプロデュースで、エビ・アジフライ、豚フィレカツ、チキン南蛮などの揚げものをたっぷりのタルタルソースに突っ込んで食べるスタイル。このタルタル、すべて植物性素材だけで作られたヴィーガンソースなので女性でも罪悪感なくカツを“タルタルの沼”につけられるんです。さすが揚げ物界の先駆者です。

 私も常に違う視点を持ち続けたいと思います。いろんなお店のプロデュースをしてきた私の初オーナー店「ホルモン人生タロちゃん」(東京・中野)はおかげさまでたくさんのお客様に愛され、このたび私の地元、世田谷・桜新町に2店舗目の「焼肉人生タロちゃん」(32席)を8月をめどにオープンすることになりました。

 焼肉酒場の中野店と違い、桜新町店は家族連れでも楽しめるお店がコンセプト。看板メニューは、鉄板でお出しして、お客様の前で“炎のフランベ”をする「タロちゃんバーグ」(2300円)。お子さんは大喜びでしょうし、祖父母、ご両親の3世代に来てもらえるようなお店にしたいですね。一緒に働いてくれる仲間も大募集です(笑い)。

 ☆たなべ・しんたろう 1978年11月5日生まれ。東京都出身。2001年ユニット「Changin’ My Life」でデビュー。03年解散後は作曲家として活動。12年、AKB48の渡辺麻友に提供した「ヒカルものたち」が23万枚のヒット。肉好きが高じて監修した「焼肉の教科書」シリーズは累計35万部超。焼肉店などの飲食店をプロデュース、21年に初オーナー店を開店、今年8月に2号店「焼肉人生タロちゃん」を東京・桜新町に、フランチャイズ店も今後開店予定。両親は歌手の田辺靖雄、九重佑三子。

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