おいしく進化中! インスタント麺ガイド

 注目の新商品についてはもちろん、昨今のトレンドやちょっとした雑学も仕入れられる月イチ企画。テレビなどでも活躍する愛好家の大山即席斎氏が、進化するインスタント麺を紹介します。意外なアレンジ術もお見逃しなく。

日清「ドロラ王 ドロ、コッテリ、鶏白湯」

 食べ物のおいしさにおいて大事なのはまず舌で感じる「味」である。しかし、それ以上に重要と考えられるのが「香り」であり、食品メーカーはこれまで味に加えておいしい香りも作ってきた。さらに大事な要素として「食感」がある。サクサク、カリカリ、パリパリ、プチプチなど、日本語には食感を表す多様なオノマトペがある。

 インスタント麺で食感といえば麺だ。弾力のあるモチモチからかみごたえのあるシコシコなど、これまでにいろいろな食感の麺を提供してきた。そして昨今はスープの食感にもこだわりを見せ始めている。スープに食感なんてあるのか、とお思いの方もおられるだろうが、従来のサラサラしたものに加え、近年は粘度の高いネットリ系やドロドロ系のスープが増えているのだ。その代表が以前に取り上げた天下一品だが、4月末にそれを上回るドロドロスープが出たので紹介したい。日清ドロラ王の超ドロドロなつゆは、かなり濃厚でこってり感はあるが、スープの見た目から想像するほどは濃厚コテコテではない鶏白湯味。麺はガッシリとした歯ごたえのあるシコシコ食感の太麺。かやくは直径約60ミリ×厚さ約4ミリほどもある鶏チャーシュー、メンマ、ネギ。鶏チャーシューは鶏の旨みがしっかりと味わえる。

エースコック「スーパーカップ1・5倍 ベビースターラーメンチキン味」
 エースコック「スーパーカップ1・5倍 ベビースターラーメンチキン味」
エースコック「スーパーカップ1・5倍 ベビースターラーメンチキン味」

 ベビースターラーメンといえばラーメンを模したスナック菓子として有名だが、私が子供だった昭和中期のベビースターは本当にラーメンの麺だった。チキンラーメン風な味付きラーメンの麺を製造する際に出るかけらをお菓子として売り出したのが最初なのだ。それが長く愛され、パッケージのキャラクターが初代の女の子から2代目のベイちゃんに変わったころに、より食べやすいスナック菓子になったのだ。

 しかしベビースターはお菓子以外にカップラーメンも出していて、ミニサイズのブタメンもロングセラーとなっている。

 今回のものは「ベビースター」ではあるが、お菓子を作っているおやつカンパニーではなくエースコックが出している。

 つゆはチキンベースの醤油味で、初代のベビースターにお湯をかけたような印象の昭和っぽい雰囲気がある。ちぢれた褐色の太麺はかみごたえのあるムッチリ食感。かやくは卵、鶏肉そぼろ、ネギ、花形のかまぼこ。

【今月のアレンジ術】
 どんな味になるかというと…
どんな味になるかというと…

 インスタント麺を簡単においしくする方法のひとつに「砂糖を入れる」というのがある。

 以前、深夜のランキング番組で「ちょい足し」がブームになったことがある。その時に提示されたちょい足しには、アイスクリーム、大福、ケーキといった甘味を入れるものが多数あったのも同様の考え方で、砂糖を入れるのはそれらの一番シンプルなやり方だ。

「甘みは旨み」という言い方もある。
 薬膳の分類に五味と言われる酸・苦・甘・辛・鹹(塩味)があるが、それに加えて旨みが存在すると日本の研究者の提案があり、近年国際的に認知された。

 酸味と塩味、辛味と塩味は似た部分があり、塩分を減らしたいから塩を減らして酢や唐辛子を加えることで減塩するという方法がある。同様に甘みと旨みも似た部分があるので甘みを追加することで旨みが増したように味覚を誤解させることができるのだ。よくテレビで新鮮な野菜を生のままかじったリポーターが「甘~い」とコメントするのも甘みが旨みに寄与しているからこその表現なのだ。

 海外だとタイではラーメン店のテーブル上に砂糖が置いてあるのが普通だという話を聞く。本当かなと思い、日本にあるタイ式ラーメン店に行ったら本当に砂糖が置いてあった。

 ということでやることは、出来上がったラーメンに砂糖を小さじ1杯加えるだけだ。いつものラーメンがひと味違ったものになる。ただ入れ過ぎると甘みを旨みと誤解できなくて、ただ甘くなってしまうのでご注意。

 ☆おおやま・そくせきさい インスタント麺愛好家。カップ麺、袋麺、ラーメン、焼そば、うどん、そば、まぜそばから海外製品まで、年間600食の即席麺を食べる。1995年、「TVチャンピオン インスタント麺通選手権」優勝。「マツコの知らない世界」出演。ツイッターは【@Sokusekisai】。