「板前焼肉」が東京に初進出 大将がカウンターで接客

2020年11月09日 16時00分

【写真上】店内はカウンターのみ。網に乗ってるのはハラミ【写真中】ミノも最高。ごま油とニンニクで下味をつけ、焼いたら薬味のとうがらしをつけて食べる【写真下】絶品のタン

【田辺晋太郎の肉アカデミー】Nice to MEAT you! いまや焼肉もこんな“域”に達したんだな~と感慨深く思ったお店をご紹介しましょう。

 大阪は京橋駅の近くに人気焼肉店「焼肉やっちゃん」の本店があります。連れていってくれたのは、「関西焼肉の女王」こといかりん。いかりんいわく「大阪には“ちゃん”がつく名店が多い」。ここもそのひとつです。

 こちらの名物はタンとハラミ。厚めながら細かい包丁を入れているから食べやすい。店内はカウンターのみで、大将が接客しながら肉を出します。その接客の印象も良く、楽しくておいしい店だったな、と思い返していたら、東京に初進出し、西葛西に支店ができたというので行ってきました。

 入り口の上には本店と同じピンクと紫の間みたいな色の看板。内装はシンプルで、席はカウンターのみというところも同じ。町の定食屋さんか小料理屋さんみたいな作りです。こちらで食べた中では、タンやハラミはもちろん、ミノも最高でした。ごま油とニンニクで下味をつけ、焼いたら薬味のとうがらしをつけて食べる。これはうまい!

 加えて、店主・ユウジさんの接客が素晴らしく、おいしい焼肉食べたい+大将と話して元気をもらいたいという気持ちでまた行きたくなります。このノリって、大将や女将に会いたくて通う町のすし屋や小料理屋と同じですね。

 以前にお話しした通り、昭和に生まれた「焼肉店」という文化は、無煙ロースターの登場で女性層も取り込み、安い輸入牛が入るようになったことで家族層も取り込みました。さらに「焼肉ライク」のようなひとり焼肉店が現れてファストフード化し、着々と大衆化しています。

 その中になかった“ピース”のひとつが「やっちゃん」流の「カウンター板前焼肉」です。店主に会いたくてすし屋や小料理屋に食事に行くように、焼肉を食べに行く。実に日本ぽいスタイルの焼肉店が誕生していたわけです。焼肉もそれほど日本人の食生活に入り込み、なじんでるってことですね。

 一人で焼肉を食べるなら、肉を買って家で焼くのも、焼肉ライクに行くのもいいでしょう。一人で食べたいけど話し相手も欲しいなら「やっちゃん」があります。カウンターのみだから一人でも行きやすい。コロナ禍でリモート仕事が増え、人との会話が減りがちな昨今、けっこうニーズがありそうな業態だと思います。

 ☆たなべ・しんたろう 1978年生まれ。東京都出身。2001年に「Changin’ My Life」でデビュー。03年に解散後は作曲家としてAKB48在籍時の渡辺麻友などに楽曲を提供。監修した「焼肉の教科書」シリーズは累計35万部を突破。最新著作「焼肉のすべて」が発売中。両親は歌手の田辺靖雄と九重佑三子。

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