京都「やまぐち」 思わず弟子入り志願?祇園の名店

2020年08月03日 16時00分

【左】お店の外観【右】肉の火入れの見事さは、ちょっと見たことがないレベルです

【田辺晋太郎の肉アカデミー】Nice to MEAT you! やっぱ、祇園はさすがやで!

 せっかく緊急事態宣言が明けたのに、東京住まいの身には遠出が難しい日々が続いています。こんな時に考えるのが、離れた場所にある名店のこと。「肉マイスター」として数々の肉の焼き方を見て、さんざん焼いてきた私が「この火入れの見事さ! どうやってるのかわからない!」と、その場で弟子入り志願しようかと思ったお店が京都にあるんです。

 そのお店とは、祇園のイタリアン「やまぐち」。先に断っておきますが、紹介制で完全予約制です。いちげんさんは入れません。だからもし、誰かから誘われたら、絶対に断らないためにこの記事で店名を覚えておいてください。

 このお店の特徴は、アワビ、ウニ、トリュフ、カラスミなど高級食材を惜しみなく使いながら、料理がさりげないこと。料理人の人柄が出ているのか、「高級でっせ」というイヤミな感じがないんです。パスタなんて、大きな器にカラスミがドンと出てきてかけ放題です。いやいや、かけ放題言うても、いっぱいかけたらしょっぱくて食えたものやないやん!と思ったら、しょっぱくない! 旨味しかない! 驚きと感動しかない!

 さて、本題の肉です。シェフの山口さんは料理を仕上げながら、時おり炭台で肉を焼いては休ませ、を繰り返しています。2時間以上かけて焼いた肉は表面が真っ黒。ちょっとちょっと、焼き過ぎじゃない?と、正直、最初は思いました。しかし、切られた肉は程よく火が入り、実に美しい! かめばしっかりと旨味が飛び出してきます。火入れが浅いとこの旨味は出ないんです。

 そして外側の真っ黒な部分は、色から想像したのとは違い、焦げのような苦みはない。表面をここまで焼きながら、苦みを出さず、旨味を閉じ込める焼き方ができる人を初めて見ました。すごすぎる匠の技です。このお店より肉の火入れがうまい店はないかもしれません。

 驚きと感動のお任せコース、東京なら5万円以上を覚悟する内容でしたが、こちらでは2万7000円。さりげない値付けでした。山口シェフはエスプリの利いた方で、人間的魅力も抜群! 一発でファンになりました。自由に遠出ができるようになったら、真っ先に行きたいのはこのお店です!

 

☆たなべ・しんたろう 1978年生まれ。東京都出身。2001年に「Changin’ My Life」でデビュー。03年に解散後は作曲家としてAKB48在籍時の渡辺麻友などに楽曲を提供。監修した「焼肉の教科書」シリーズは累計35万部を突破。最新著作「焼肉のすべて」が発売中。両親は歌手の田辺靖雄と九重佑三子。