カナダ競馬で17年ぶり3冠馬誕生なるか 福元大輔騎手 〝独眼馬〟で偉業に挑む

2020年10月24日 16時46分

 先週、秋華賞を制し、日本競馬会史上初となる無敗の牝馬3冠を成し遂げたデアリングタクトに続き、今週は菊花賞で同じく無敗の牡馬3冠に挑むコントレイルに注目が集まる。そんな中、カナダでは若き日本人騎手が同国で17年ぶりとなる3冠馬誕生をかけ、24日午後(日本時間25日午前)レースに臨む。

 その日本人騎手とはカナダで活躍する福元大輔(23)。鹿児島県の牧場で育った福元は15歳でJRAの競馬学校を受験するも不合格。高校進学をあきらめて浪人し、再度挑戦するもまたもや不合格。だが、騎手への夢を捨てきれなかった福元は、ツテもないカナダに単身で渡り、現地の厩舎で下積み修行の末、19歳で念願の騎乗免許を取得した。

 そんな福元が24日、3冠目をかけたブリーダーズS(12ハロン=オンタリオ州ウッドバイン競馬場)で騎乗するのが、マイティハート(父ドラメディ・牡3)という黒鹿毛。実はこの馬、当歳時に不慮の事故で左目を失った〝独眼馬〟なのだ。

 福元がマイティハートに初めて騎乗したのは、日本でダービーにあたる1冠目のクイーンズプレートS(オールウェザー10ハロン=ウッドバイン競馬場)。コロナ禍の影響で例年の6月から9月12日に順延となった。4戦1勝で臨んだ同馬は14頭中6番人気と低評価だったが、絶好の飛び出しでハナを切り、最後の直線では7馬身半後続を突き放す圧倒的な逃走劇を演じた。

 9月29日の2冠目、プリンスオブウェールズステークス(ダート9・5ハロン=同州フォートエリー競馬場)は9頭立て。再び鞍上を任された福元は前走とは一転し、折り合いをつけて好位からの競馬で、4コーナー手前から仕掛けると、残り150メートルで先頭のクレイトンと併せ馬。最後は2馬身半差をつけて快勝した。

 福元は現地の有力紙グローブ・アンド・メールに「クイーンズプレートを勝った時はペースはすごく早かったが、どんどん前に行けた。そんな経験をしたことがなかった。この馬に乗れることを幸運に思う。騎手人生を変えてくれた」と喜びを伝えた。

 マイティハートはレースでは左目にアイパッチを着けた上でブリンカーを装着。これは眼窩(がんか)に砂などが入ることを避けるためだが、同馬にとって隻眼での競馬は「何の問題もないようだ」とジョージー・キャロル調教師(62)。

「いい馬には目に見えない何かがある。マイティハートは最初から振る舞いに何かを違ったものを感じた」と明かした。同師は2006年、エデンウォルドでクイーンズプレートを女性調教師として初めて制し、カナダ競馬の殿堂入りを果たした。

 そんな同師にとっても今回が初の3冠挑戦。2003年ワンド以来の偉業を達成すれば、隻眼馬の3冠馬は伝説となり、福元もまた海外競馬初の日本人3冠騎手となる。運命の出走時間は24日午後5時43分(日本時間25日午前6時43分)だ。