【凱旋門賞】キセキ角居調教師 最後の直線で「エネイブルの前に」そこに勝機あり

2019年10月04日 21時01分

シャンティイ調教場をバックに凱旋門賞での活躍を誓う角居調教師(右)と旭堂南鷹

【凱旋門賞(6日=パリロンシャン競馬場・芝2400メートル)講談師・旭堂南鷹「競馬講談したい馬」特別編】仏GI凱旋門賞の枠順抽選が3日に行われ、日本勢は3頭ともに希望枠を引き当てた。日本競馬界の悲願達成に向け、日増しに期待が高まっていく中、キセキの角居勝彦調教師(55=栗東)が本紙へその熱い思いを激白した。これまで数々のGI、さらに国際レースを制してきた“世界の角居”が感じる凱旋門賞の意義、そして日本馬が勝利するためのポイントは果たして…。東スポWeb競馬コラム「競馬講談したい馬」でおなじみの講談師・旭堂南鷹(46)が直撃した。

 旭堂南鷹:私、キセキを応援するため、ドバイ経由でフランスまでやってきました。しかし、このシャンティイは広大な調教場ですねぇ。この一帯はすべてそうなんですか?

 角居勝彦調教師:奥にもたくさんの施設があるんですよ。ものすごい広さです。

 旭堂:芝の上に置いてあるポールはラチの代わりですか?

 角居:そうです。しかし、あれもモヤがかかれば見えなくなる。乗り手の技術が問われるし、そもそもの前提として、どこに何があるのかを知らなければ何もできない。そんな場所です。

 旭堂:で、この場所を理解するためにフランスへと足を運ぶようになった。3年以上も前になりますかね?

 角居:そうですね。それくらいです。

 旭堂:きっかけはヴィクトワールピサの凱旋門賞挑戦(2010年7着)になるんですかね?

 角居:あの時は「このような調教がいい」と現地の人間に言われれば、その通りの調教をするしかなかった。ここでは時計も取れないし、指針になるものもないですからね。乗り手に「良かったよ」と言われれば、そうなんだと思うしかない。それで馬を作った気分になりますか? ならないですよね。

 旭堂:今回はシャンティイを熟知して挑む一戦。ヴィクトワールピサの時よりも馬を作りやすかったですか?

 角居:作っているというイメージはあります。それが正しいかどうかはわからないけど(笑い)。

 旭堂:他の日本馬(フィエールマン、ブラストワンピース)はニューマーケットに行きました。そんな状況でもシャンティイにこだわった理由とは?

 角居:前哨戦を使いたかったこともあるけど、2か月という期間の中で日本とは違う走り方に馬を変えながら、凱旋門賞に向けて状態を上げていくことを考えた時、フランスしか選べないと思ったんです。

 旭堂:キセキに関しての話をしましょう。前走(フォワ賞=3着)の騎乗を受け、スミヨン騎手は軟らかい馬場のほうがいいと言っているようですね。

 角居:長くいい脚を使うけど、そこまで切れるわけではない。馬場が重くても同じ脚を使えるのであれば…。という感じなんでしょうかね。

 旭堂:確かに菊花賞は道悪で勝っていますが、高速馬場だったJCでも2着に好走しています。ご自身はどのように考えているんです?

 角居:難しいですね。コースと展開によるのかなと思いますけど。

 旭堂:前走は逃げたくないのに逃げてしまったと聞いています。もちろん、今回も逃げたくない?

 角居:それも展開によると思うんですよ。どういう状況になるかはわからないし、騎手に任せてます。

 旭堂:今年は強いメンバーが揃ってますが、ポイントはどこにあると考えてます?

 角居:エネイブルが強いのは誰もがわかっています。その強い馬をみんなが負かそうとする競馬になれば、チャンスも出てくるのかなと。

 旭堂:最後の直線に入った時にはキセキがエネイブルよりも前にいる――。こんなイメージを僕は持っているのですが。

 角居:そうでしょうね。そこでエネイブルの前にいなければ、勝負にならないと思います。

 旭堂:日本人は凱旋門賞が大好きですが、角居師にとってはどのようなレースなのでしょうか?

 角居:私たちの先輩が昔からチャレンジしてきた思い入れの深いレースです。自分たちの二世代、三世代も後の人間たちも凱旋門賞にチャレンジするかもしれない。それくらい重たくて夢のあるレースですね。そこにチャレンジできることに喜びを感じていますよ。

 旭堂:一方で日本競馬にとっては乗り越えないといけないレース。そんな感じもするのですが。

 角居:凱旋門賞は力をつけた日本の競馬を披露する場所なのかもしれません。日本の競馬が世界に進出する1ページ。そんな感じでしょうか。

 旭堂:最後に日本のファンにメッセージを。

 角居:前哨戦は期待に応えられませんでしたが、前走以上の状態で出走できるようにと頑張っています。楽しみにしてください。

【プロフィル】きょくどう・なんおう 講談師。マイケル・ジャクソンの自伝を読んで講談師の道を決意。演目は競馬、MJの他に「五代友厚」をシリーズ化。毎週日曜7時~ラジオ関西「南鷹の今昔なにわ物語」出演中。夢はグラミー賞朗読部門。