【凱旋門賞】現地では予想以上の「エネイブルへの畏怖」

2019年10月04日 20時03分

「断然の主役」デットーリ騎乗のエネイブル(ロイター=USA TODAY Sports)

【凱旋門賞(6日=パリロンシャン競馬場・芝2400メートル)探券隊】アグネスデジタルのドバイ遠征に同行したのが2002年。それ以降、両手では足りないほどの海外取材に行かせてもらった。異国の地で毎日のように顔を合わせる日本馬と、その関係者に“情が移る”のは当然で、これはニューマーケットにいる立川記者も同じだろう。記者は日本馬のどれかではなく、シャンティイにいるキセキにこそ勝ってほしい、と切に願っている。

 しかし、JRAが馬券発売を開始した16年凱旋門賞以降、その感覚に若干の変化があった。マカヒキは記者が懇意にしている友道厩舎所属のダービー馬であり、前哨戦のニエル賞を制しての出走。それまでの自分なら、全力応援の意味を込め、最も大切な◎を彼に託していただろう。

 だが、日本にいるファンが単なる応援だけでなく、馬券を買って凱旋門賞を観戦すると考えたとき、フランスの地で感じた“空気感”を無視することはできない――。この思いが強くなった。日本人がマカヒキに与えていたほどの評価を、現地で得ていたとは感じなかったのである。

 正直、今年の日本馬は当地では完全に無視されている。いや、日本馬だけでなく、エネイブル以外の出走馬のほとんどは注目に値しないと考えられている。これだけのビッグレース。日本なら多少のリップサービスをするはずだが、それさえも聞こえてこない。「断然の主役」エネイブルに対しての畏怖の念を誰もが口にする。日本のファンもエネイブルを別格扱いしているだろうが、こちらの関係者のそれは予想以上だ。

 渡仏前、個人的に注目していたのは仏ダービー馬ソットサス。しかし、彼に乗るC・デムーロには「残念だけど、彼女に勝つためのすべがないんだ」と首をひねられた。その後に続いた「前で競馬ができるガイヤースがいいと思う」というアドバイスは、エネイブルを後ろから捕らえられる馬はいない=末脚を武器にする自分のパートナーでは厳しい。そのように解釈せざるを得なかった。ソットサスでは主役を食えないのだ。

 すでに記者はエネイブルの相手をどこまで絞るか、その一点だけを考えている。それも感情を抑えてシビアに――。残念だが、日本馬に回す印の余裕は今のところない。