【TPC秋山響の海外競馬解析】ついにイタリアからGIレースが消滅することになった。
6日に欧州におけるグループレースおよびリステッドレースを管理する欧州パターン競走委員会が、イタリアで唯一のGIとして行われていたリディアテシオ賞(3歳上牝馬限定=芝2000メートル)のGII格下げを発表した。
イタリアでは国家の財政危機に端を発して競馬界に対する補助金カットが行われたことや、統括団体のそれまでの放漫経営もあって、2012年ごろから賞金の未払いおよび支払い遅延の問題が発生。これに伴って有力人馬のイタリア離れが起こり、レースのレベルが低下したことで、リディアテシオ賞もGI格を維持することができなくなった。
1980年代には最大で12のGIを行っていたイタリアでは16年までにリディアテシオ賞、ヴィットリオディカプア賞、ジョッキークラブ大賞、ローマ賞の4つまでGIが減少。その後、17年にリディアテシオ賞を残して全て降格となり、GI消滅へのリーチがかかっていた。
またイタリアは今年から欧州パターン競走委員会の正式メンバーから準メンバーに格下げとなっており、その先行きが心配される。
最後に昇格となったレースについても触れておくと、今年GIIからGIに昇格となったのはGI凱旋門賞の前日に行われるフランスのロワイヤリュー賞(3歳上牝馬限定=パリロンシャン競馬場)。欧州パターン競走委員会は17年から長距離戦を充実させる方針を取っており、このレースもこれまで2500メートルで争われてきたが、2800メートルに距離を延長することでGI昇格の承認を得た。