【凱旋門賞前哨戦フォワ賞】クリンチャー宮本調教師「ロンシャンの力いる高速馬場への適性十分」

2018年09月11日 21時32分

クリンチャーと宮本博調教師

【凱旋門賞前哨戦フォワ賞(16日=仏パリロンシャン競馬場・芝2400メートル)】今週はおなじみのGI凱旋門賞(10月7日=仏パリロンシャン競馬場・芝2400メートル)へ向けて日本から唯一参戦するクリンチャー(牡4・宮本)が現地で前哨戦に出走。武豊騎手を背にGIIフォワ賞に挑戦する。1999年エルコンドルパサー、2012、13年オルフェーヴルが同レースを制していずれも凱旋門賞で2着。これまで世界最高峰のレースを目指した日本馬が最重視しているステップレースでもある。前評判は決して高くないが、タフネスと意外性が売りの馬だけにサプライズ好走の可能性は十分ある。管理する宮本博調教師(55)の話を交えながらレースを展望する。

 台風20号の影響で輸送機が欠航。クリンチャーは予定していた8月23日の出国が翌日にズレるアクシデントに見舞われたが、空港で立ち往生など体調を崩す事態には陥らず、無事に渡仏を果たした。さらに現地でも陣営が思い描いた通りに調整は進んでいる。

 今夏の日本は全国的に異常な暑さに見舞われた。そのあたりも心配の材料だが「帰厩したときと出国するタイミングは涼しかった。今年のヨーロッパも暑かったみたいやけど、ウチの馬が到着してからは朝の気温は5度くらいで日中も25度前後。お天気までも味方につけとるわ。環境の変化に動じない馬やから日本にいるときと同じ雰囲気やね」とは宮本調教師。笑顔で話すように遠征の第1関門は無事にクリアできたようだ。

「ロンシャンの芝コースを実際に歩いてみたけど、かなり短く刈り込んでいて時計が出そうな感じ。メチャクチャ力のいる馬場には見えなかったけど、現地の人の話では(芝が)根深くてやはり走らせるとパワーが必要みたい。クリンチャーは菊花賞(2着)の泥んこ馬場でスイスイと走れていたように適性は十分にあると見てるし、皐月賞(4着)を1分58秒1で走破してるんやから、たとえ高速馬場になっても対応できるはずやで」

 現地に赴いて馬場コンディションを入念にチェックした宮本師は“クリンチャー向き”との確信を得たようだ。

 国内で規格外の強さを見せていたオルフェーヴル、エルコンドルパサーは別格にしても昨年極悪馬場だった菊花賞で2着、厳冬期でパワーを要する京都記念の重馬場でGI馬4頭を負かした驚異的な持久力はフランス遠征した最近の日本馬の中ではトップ級の馬場適性を示すものだ。

「使ってガラッと良くなるタイプで、今回は天皇賞・春(3着)以来の実戦。凱旋門賞のときにはさらに良くなっているのは間違いないんやけどね。今年は実績馬もいるのでここである程度の結果を残して本番に期待を持てるような走りをしてほしい」と宮本師。

 慎重に言葉を選んで話すのは、昨年のGIブリーダーズカップターフを制したタリスマニック(牡5・仏)、GIサンクルー大賞を勝ったヴァルトガイスト(牡4・仏)など、欧州トップクラスとの対戦が待ち構えているから。戦前の評価もそれほど高くはないが、これまで最低人気で未勝利戦を圧勝、菊花賞も10番人気で2着するなど意外性を持ち合わせた馬。凱旋門賞でも上位人気に支持されるであろうライバル撃破のサプライズを期待したい。

◆現地での評価=フォワ賞はJRAの馬券発売はないが、クリンチャーの評価はブックメーカーのオッズで確認できる。英国主要ブックメーカーのひとつ「ベットフェア」では9日現在クリンチャーの単勝オッズは上から4番目の8・0倍。仏GIサンクルー大賞優勝馬ヴァルトガイスト、昨年の米GI・BCターフ勝ち馬タリスマニックがトップ評価を受けている(それぞれ3・75、3・25倍)。

【TV中継】16日には同じパリロンシャン競馬場で同距離のステップレースがほかに2レース行われる。3歳上牝馬のGIヴェルメイユ賞と、3歳馬(牡牝)のGIIニエル賞だ。いずれも本番展望のために重要なレースだが、この3つの前哨戦をグリーンチャンネルが中継する。詳細はHP参照。