【フェブラリーS】新砂王ゴールドドリーム 弔いVの陰に「陣営の修整力」

2017年02月20日 21時33分

絶妙のタイミングで抜け出し、最後は右ムチ連打で勝負を決めたM・デムーロ=ゴールドドリーム(中央)

 19日、東京競馬場で行われた2017年JRA・GI開幕戦の第34回フェブラリーS(ダート1600メートル)は、4歳馬ゴールドドリーム(牡・平田)が世代交代を鮮やかに告げるV。単オッズ1桁台が6頭という大混戦を制した。チャンピオンズC・12着からの見事な反撃だが、これにはしっかりとした理由があった。新星誕生の一戦を振り返り、今後の可能性にも言及してみたい。

 決戦前日の18日に急死した03年のフェブラリーS覇者ゴールドアリュール。その産駒のゴールドドリームが“弔いV”を果たせたのは、チャンピオンズC・12着を徹底分析した陣営の「修正力」と言えようか。

「前走はすごくテンションが高くて集中しなかった。スタートで遅れて向正面でかかって、直線は全然伸びなかった」

 鞍上ミルコ・デムーロの言葉を聞けば、今回は別馬だったことが理解できよう。馬場先入れの効果もあり、輪乗りでは落ち着いた姿を披露。「中2週で予想以上にイレ込んだ前走を踏まえ、今回はあえて前哨戦をパスした」と平田調教師。勝負のカギの半分はゲートイン前にあったのだ。

 さて、その肝心のレースは半馬身ほど出負けしたが、2馬身近く遅れたチャンピオンズCに比べれば許容範囲。鞍上は軽く気合をつけながら中団に取りつくと、徐々に外へと馬を出し、4角では早々と先行集団の外に並びかけた。

「ペースがそう速くないと思って早めに動いた。自信があったし、手応えもすごく良かった」

 そのミルコが追い出しを開始したのは残り2ハロンを過ぎてから。一度は2着馬に内からすくわれる形となったが「物見をして危なかったが、まだ余裕があり問題はなかった。ベストウォーリアが来たらまた伸びたね。ボクは乗っていただけ。能力はすごいです」と自身の連覇(昨年はモーニンに騎乗)よりも、雪辱を果たしたパートナーをたたえた。

 一方、12年のカレンブラックヒル(NHKマイルC)以来5年ぶり、2度目のGI制覇を遂げた平田調教師は愛馬の思い通りの成長に満足げ。

「父はすごい競走馬だったし、偉大な種牡馬。1年前にこの舞台でヒヤシンスSを勝った時から“いずれGIを狙える馬”と思ってきたが、ここで後継者として名乗りを上げられたのがうれしい」

 これで東京マイルは4戦3勝2着1回。「跳びが大きいので広いコースが合う」と師は語るが、まさに申し子たる活躍ぶりだ。「距離は2000メートルまでOK。いつも集中していたら負けないんだけど」と最後にこう締めたミルコだが、今後目指すのはもちろん“府中巧者”の枠を超えた砂のチャンピオン。まだキャリア9戦。世代交代を鮮やかにアピールした同馬のさらなる飛躍のカギは、その精神面の成熟にかかっている。