【エプソムC】ルージュバック圧勝!“天才少女”復活の舞台裏と今後の可能性

2016年06月13日 21時01分

上がり32秒8の鬼脚で一気に勝負を決めたルージュバック。華麗なる復活に鞍上の戸崎圭はガッツポーズ

 12日、東京競馬場で行われたGIIIエプソムC(芝1800メートル)は、1番人気のルージュバック(牝4・大竹)が約1年4か月ぶりの勝利で重賞2勝目を手にした。昨年のクラシックで辛酸をなめた“天才少女”の華麗な復活Vの舞台裏と今後の可能性を探る――。

 全国リーディングを走る戸崎圭が小さく右手を握り締めたゴールの瞬間にこそ、この勝利の意味が詰まっている。

「前を行くマイネルミラノとは距離があったが、届くと思った」

 デビューから主戦としてコンビを組んできた戸崎圭が、今回ルージュバックをいかに信頼して臨んだかがわかる。結果は2馬身半差。見た目にはそれ以上、圧勝と言える走りだった。

 道中は中団で競馬を進め、スムーズに直線を迎える。逃げたマイネルミラノの脚色はまだ衰えることなく、前へ前へと突き進む。4角で各馬が横に大きく広がった馬場の大外の一角、ここからルージュバックの独り舞台が開演する。ラスト200メートルのところでトップスピードに乗ると、あとはしなやかに飛ぶような脚で前を捕らえ、ここ数戦のうっぷんを一気に晴らしてみせた。

「ようやく力を証明することができた」という大竹調教師。あふれるほどの才気に満ちながら、3歳クラシック当時は体質面の弱さを抱え、思うようなパフォーマンスを見せることができなかった。それが「これまではカイバ食いに影響が出ないように調教をやり過ぎないようにしていた。でも今は違う。他の馬と同じようなメニューでも問題なくなったからね」。

 試行錯誤の連続がやっと実を結び、若きトレーナーに安堵の時をもたらした。馬体は6キロ減だったが決して細くはなく、むしろ引き締まった印象。同馬の段階を踏んだ確かな成長は走りと、そのボディーに確実に刻まれていた。

 同師が口にした「ようやくイメージした姿に近づいた」というひと言は、単純に低迷から脱したということを意味しているのではないだろう。一時は凱旋門賞さえ目指したほどの逸材。その本来の姿を取り戻した上に、古馬になってさらに進化を遂げる第一歩を踏み出した――。その手応えをつかんだに違いない。

 そして、その感触を大竹師と共有するのが戸崎圭。「ずっと乗ってきたのに結果が伴わず申し訳なく思っていた。この馬と一緒にGⅠのタイトルを取りに行きたい」

 小さなガッツポーズには過去の清算と、明るい未来への確かな感触も込められていた。