【日本ダービー】マカヒキの「勝因」と「凱旋門賞の期待度」

2016年05月31日 21時01分

14万人近い大観衆の祝福を受け感極まった川田=マカヒキ

 29日、東京競馬場で行われた競馬の祭典・第83回日本ダービー(芝2400メートル)。13万9140人もの大観衆の中で争われた3歳頂上決戦をハナ差8センチで制したのは3番人気のマカヒキ(牡・友道)だった。空前のハイレベルと言われた一戦の勝因は? そして勝者に開けた海外遠征への道=凱旋門賞挑戦となれば日本馬初の快挙の可能性は? 様々な角度から同馬の今後を展望する。

 

 第83代ダービー馬の栄冠に輝いたのはマカヒキ。直線で手応え良く抜け出すと、最後はサトノダイヤモンドとの壮絶な叩き合いをハナ差で制して、2013年に生まれたサラブレッド6913頭の頂点に立った。

 

 ダービー初勝利の川田は「自分のことよりも、この馬がダービー馬になったことが何よりうれしい。道中はサトノが斜め前にいたので、この馬と一緒にレースをしようと思いました。直線は狭いところを割って脚を使ってくれた。最後は不細工な格好で追う形になったが、何とかしのいでくれという気持ちでした」とクールな男の目に涙が光った。

 

 一方の友道調教師もダービー初制覇。「これで負けたら仕方がないと思える100%の仕上げができた。枠もいいところを引いたし、中団からの競馬で安心して見ていられた。それでも、最後は思わず声が出ました。やはりダービーは特別です」と喜びを爆発させた。

 

 空前のハイレベル決戦を制したことで、同馬の夢は世界へ広がる。日本馬初の凱旋門賞制覇へ。金子真人オーナーは「輸送の問題など難しい面もあるので、これからじっくり考えます」と話すにとどめたが、斤量面の優位性、コース適性を考えれば今秋の遠征実現を願わずにはいられない。

 

 というのも、従来行われていたロンシャン競馬場が改修工事中のため、今年はシャンティイ競馬場での開催。このコース替わりが日本馬にとって追い風となり得るからだ。現地時間24日の仏GIイスパーン賞でエイシンヒカリが10馬身差Vを決めたのは記憶に新しいが、その圧勝劇の舞台こそほかならぬシャンティイ競馬場だった。

 

 同馬を管理する坂口調教師は当地の印象について「当日は道悪のコンディションだったけど、芝丈が短く刈ってあったし、よく言われるヨーロッパ=重い馬場という印象はそれほど受けなかった」と、日本馬にも走りやすい馬場であったことを示唆。コース形態についても「アップダウンやコーナーのきつさはあったが、それほど特殊なコースだとは感じなかった。能力をストレートに出せるコースだと思う」と評した。

 

 ならば、エイシンと同じくディープインパクトを父に持つマカヒキの切れ味が生きる可能性も十分。海外遠征となれば、懸念されるのは環境の変化への適応だが「普段は寝ているか瞑想しているかのどちらか。精神面ではこれまでにないタイプで、とても落ち着いている馬。だから遠征しても楽しみ。十分やれるチャンスはある」と友道調教師は断言した。

 

 父ディープインパクトが現役時代に唯一果たせなかった“夢”を、その息子が実現する――そんな競馬のロマンを感じずにはいられない今年のダービーだった。