【共同通信杯】アドマイヤマーズ友道調教師が語った「早過ぎる始動」の狙い

2019年02月05日 21時31分

アドマイヤマーズは無敗の王者の貫録を見せつけるか

 今週末は寒風吹き荒れそうな東京競馬場。春のクラシックはまだまだ先のような雰囲気だが、GIII共同通信杯(日曜=10日、東京芝1800メートル)には昨年の最優秀2歳牡馬アドマイヤマーズが登場する。4戦無敗の王者の早過ぎる始動の裏に隠れた事実とは? JRA確定版で西主場の本紙担当を務める松浪大樹記者が、同馬を管理する友道康夫調教師(55)を直撃した。

 松浪:2歳王者が早々と始動。年明け初戦を2月の共同通信杯とした理由を教えてください。

 友道:当面の目標は4月14日の皐月賞。これは間違いないんだけど、皐月賞後にNHKマイルC(5月5日)へ向かうのか、それともダービー(5月26日)に行くかはまだ決めてないんだ。ただ、どちらのレースを選んだとしても最終的に東京コースを走ることになるよね? ならば早い段階で東京を経験させようかというのが理由のひとつ。

 松浪:その判断にあたって、レース間隔が空いても問題のない馬という側面もありましたか。

 友道:レース間隔を空けたいからこその選択だよね。弥生賞あたりからスタートする、いわゆる王道路線を歩ませると、短い期間で関東への輸送を何度もしなくてはならない。仮にNHKマイルCを選択した場合、それは結構な負担になるだろうからね。

 松浪:皐月賞からダービーは余裕を持った日程。選択肢にNHKマイルCを入れておきたかったということですね。

 友道:どちらになっても大丈夫なように…という考え方だね。間隔が空くことに関しては問題のない馬で、これまでも結果を残してきている。ダービーに向かうことになれば、それはそれでいいわけだし。

 松浪:ダービーを勝った2頭(2016年マカヒキ、18年ワグネリアン)は弥生賞→皐月賞→ダービーのローテーション。この選択にこだわりは…。

 友道:逆に中山で2回は走らせたくない、と思ったな。特に弥生賞の時期は馬場が良くない印象があるからね。そもそも、その「王道」と呼ばれたローテーションを選択して、春の2冠を制した馬が最近は出ていない気がしない?

 松浪:11年オルフェーヴル、15年ドゥラメンテと春2冠馬は出ていますが、弥生賞経由となると、05年のディープインパクトが最後です。

 友道:ウチの馬みたいに弥生賞を使った馬がダービーを勝つことはある。でも、その場合は皐月賞で負けていることが前提になっちゃうよね。惜しい負け方をして盛り返すみたいな感じ。

 松浪:王道ローテーションは緩める時期がないわけだし、ダービーまでを考えた場合、輸送の続く関西馬が敬遠して不思議のないレースかも。直行が当たり前になった現在の競馬で前哨戦を使うことがマイナスに働く可能性もあるわけですね。

 友道:アドマイヤマーズに関して言えば、皐月賞に直行でも全く問題はないと思う。でも、状態もいいわけだし、走らせない理由もないかな、と思ってね。さっきも言ったように東京も経験できるわけだし。

 松浪:過去にNHKマイルCを勝った管理馬(15年クラリティスカイ)はいましたが、あの馬は皐月賞までに2000メートルの経験もあった。一方、デビュー4戦すべてマイルを使ってきたアドマイヤマーズは距離の壁をクリアしながら、皐月賞を目指すことになります。

 友道:本来、ウチの2歳馬は中2週で使うことなんてないんだけど、確実に勝てそうだったので新馬戦後は同じマイルの中京2歳Sを使った。その流れで朝日杯まで行っちゃったからね。これに関してはどうしようもない。皐月賞の時に初めて2000メートルを走ることになるけど、実はあまり心配はしてないんだ。

 松浪:距離だけでなくコーナー4回の競馬も初めて。経験させたいという気持ちはなかったんですか?

 友道:それは全くなかった。競馬の上手な馬だし、距離が持つならコーナーが2回でも4回でも問題ないと考えているからね。

 松浪:その距離克服に関しては?

 友道:スタートが上手なうえ、スピードもあるのでスローペースだと行ってしまう形になる。実際、これまでもそうだったし、距離が延びて、ハナに行きたい馬も減る今後はその傾向がさらに強くなるかもしれない。でも、行きたがるから行っているわけではなく、前に行っても折り合いを欠いているわけではないからね。大丈夫だと思う。

 松浪:中、長距離が得意な友道厩舎としては異色な感じもします。

 友道:初めて見た時はダイワメジャー産駒と思わず、あとで知って「これでダイワメジャーなの?」と。胴の伸びた馬体をしているし、距離の融通は利きそうだよ。

 松浪:競り合いに強いタイプというのが厩舎内での共通認識みたいですが、本当に強い相手とゴールまで叩き合った経験がない。まだ真価を発揮していない気もします。

 友道:前走がそんな競馬になると思っていたんだけど、意外とあっさり抜けちゃって、叩き合う感じにならなかった。馬体を並べて競り合う形になった時にこの馬の本当の力を見せられるかもしれないし、これからも期待できると思いますよ。

☆ともみち・やすお=1963年8月11日生まれ。兵庫県出身。2001年調教師免許取得、02年11月開業。JRA重賞は37勝で、GIは08年アドマイヤジュピタ(天皇賞・春)、09年アンライバルド(皐月賞)など10勝。近3年で2回、日本ダービーを制している。昨年はJRA賞(最多賞金獲得調教師)に輝いた。