【NHKマイルC・後記】差し切りVケイアイノーテック「マイルだけの馬じゃない」

2018年05月07日 21時33分

ケイアイノーテックの頭をなでて労をねぎらう藤岡佑

 6日に東京競馬場で行われたGI第23回NHKマイルカップ(芝1600メートル)は、6番人気の伏兵ケイアイノーテック(牡・平田)が直線一気の差し切りで優勝。管理する平田修調教師にとっては2012年のカレンブラックヒル以来、同レース2度目のV。鞍上の藤岡佑介はうれしいJRA・GI初制覇となった。一方で1番人気のタワーオブロンドンは12着惨敗。その明暗を分けた背景、そして優勝馬の今後の可能性を探ってみる。

「トップジョッキーになるには、こういうチャンスをモノにしていかなければならないと思っていました」

 武豊の騎乗停止で急きょ、巡ってきたケイアイノーテックへの騎乗。その好機を逃さずに待望の初GIタイトルをゲットした藤岡佑も見事だったが、思えばこのコンビには最初から“風が吹いていた”のかもしれない。

「使い込んできたので限界かと思ったし、ニュージーランドTで権利を取れなければ放牧に出すつもりでいた」

 平田調教師が語ったように、昨秋から大きな休みを取ることなく今回が6戦目。それはスタート後の“異変”とも無関係ではなかったかも。

「ゲートを出てからびっくりするくらいスピードに乗らなかった。この日は前が止まっていなかったので流れに乗せたいと思っていたが…。考えたプランはすべてゼロになりました」(藤岡佑)

 道中はまさかのブービー17番手。しかし、腹をくくった騎乗が最後に明暗を分けた。前半の4ハロンは46秒3。ラップ自体はさほど速くはないが、運命を左右したのは午後からの天候の急変である。

「向かい風が強くなってきたのは分かっていたし、この馬の武器は瞬間の切れというより長く持続する末脚。踏み遅れがないように半マイルから動かした。大味な競馬をしたことがゴール前で生きることを信じて乗った」

 鞍上の言葉通り、大外に出した直線でもようやくギアが上がったのは残り1ハロン手前から。「素晴らしい反応だった」と話す末脚は最後まで衰えず、早め先頭のギベオンをきっちり捕らえたところが栄光のゴールだった。

「カレンブラックヒルの時は4角を回って後続を突き放す圧勝だったが、追い込んだ今回はエキサイティングだったね。ここを目標にデビューからマイルばかり使ってきたのが今日につながった」

 平田調教師は満足げに振り返る一方で、今後のビジョンをこう語る。

「こんな競馬ができるなら、秋はもう少し距離を延ばそうと考えている。昨夏も休ませたらひと回り成長して帰厩した。パワーアップして戻ってくれたらうれしいですね」

 辛らつな言い方かもしれないが、NHKマイルCは牡牝ともにクラシックを取り損ねた馬同士の戦い。桜花賞の内容と比較しても、現状で“若きマイル王”と呼ぶのは早計だろう。それでも藤岡佑のこんな言葉は実に興味深い。

「初めて追い切りに乗せてもらった時、本当にマイルの馬かと思うくらい操縦性が高かった。さらに、追って追ってエンジンがかかるタイプ。今日に関してはマイルだけを使ってきた作戦勝ちですが、まだまだ可能性のある馬だと思います」

 今回の勝利が飛躍への大きな一歩だったと振り返るシーンが、秋に見られるかもしれない。

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