【阪神JF】2歳女王ラッキーライラック 父オルフェーヴルとは真逆の“優等生”

2017年12月11日 21時23分

石橋は鬼気迫る左ムチ連打でリリーノーブル(左)を差し切ってラッキーライラックを勝利に導いた

 10日、阪神競馬場で行われた第69回阪神ジュベナイルフィリーズ(芝外1600メートル)は、中団でレースを進めた2番人気ラッキーライラック(松永幹)が2着リリーノーブルとの競り合いを制して勝利。3戦無敗で2歳牝馬の頂点に立った。1番人気のロックディスタウンは9着に沈んだが、2番人気の優勝馬で初年度からGI馬を出した父オルフェーヴル。ラッキーライラックのパフォーマンスを検証することで、オルフェーヴルの種牡馬としての可能性も探ってみたい。

 今年が種牡馬デビューとなったオルフェーヴルの特徴は“荒ぶる気性”。それは産駒にどこまで影響するものなのか。2頭の重賞ウイナーを出しながら、勝ち上がり率では他の新種牡馬に劣っている現状。言葉は悪いが、当たり外れの振り幅が大きいというイメージも定着しつつあった。

 そんな外野の声をシャットアウト? いや、当たりを引いた時の大きさを、改めて感じたレースと表現したほうが適切かもしれない。父ステイゴールドにも通じる“大物輩出種牡馬”の道を早くも歩き始めたオルフェーヴル最初の孝行娘は、父のイメージとは違う優等生だ。

「アルテミスS(1着)では少し力んでいたので、その点には気をつけていたんですが、今日は落ち着いて走れていた。改めて賢い馬だと思いました」と鞍上の石橋。力むことなく終始抜群の手応えでレースを進め、いつもより後ろの8番手でもまるで問題なし。「身体能力が高いことはもう分かっていますからね。あとは僕がどこで合図を出すかだけ。いつも通りの反応でゴールまで素晴らしい伸びを見せてくれました」と絶対の信頼を置くことで、末脚の切れという新たな武器を引き出した。

「アルテミスSはどういうレースになるかと緊張もしましたが、今回は冷静に落ち着いてレースを見ることができました」という松永幹調教師は同馬の長所を「普段はおとなしくて扱いやすいのに、追い切りや競馬になるとスイッチが入るところですね」と話した。

 燃えやすいのがオルフェーヴル産駒の特徴と考えがちだが、本当に走る産駒はまるで逆。切り替えの早さ、学習能力の高さが最大の強みだ。大舞台で大人びたレースをしたラッキーライラックはそれを証明した格好。こんな驚きを与えてくれるのも父オルフェーヴルの特徴なのかもしれない。

「まずは桜花賞を目指すことになりますが、デビュー前から距離が延びていいタイプと考えていたので来年がとても楽しみになりました」と語る松永幹調教師でなくとも、新女王の座に就いた怪物の娘がクラシック戦線でどのような進化を遂げていくのか。オルフェーヴルの活躍に魅せられた一ファンとしても、夢の続きを見ずにはいられない。