【菊花賞】超極悪馬場を克服したキセキに無限の可能性

2017年10月23日 21時02分

スタミナ自慢のポポカテペトル(左)、クリンチャー(右奥)をキセキはあっという間に抜き去った

 22日、京都競馬場で行われた牡馬3冠最終戦の第78回菊花賞(芝外3000メートル)は、先週から続く秋雨と台風21号の接近で過去に例を見ないほどの極悪馬場(不良)。その適性が明暗を分けただけに、キセキ(牡・角居)の勝利が「3歳最強」を証明するものでないのは確かだが、それでも今回の勝利は同馬にとって“大いなる意味”がある。その理由とは? 勝者キセキの真の適性について改めて掘り下げる。

「ヨーロッパでもこれほどの馬場状態は珍しい。水の中を走っているようだった」とM・デムーロが振り返った一戦は、スピード化が進む現代競馬に逆行するスタミナ比べだった。

 3分18秒9――。3200メートルの勝ち時計と見間違う数字が、あまりにもタフな馬場状況を証明している。良馬場の決め手勝負では分が悪いクリンチャーが2着に入り、同じタイプのポポカテペトルが3着。このような馬が躍動するレースだったのは間違いなく、キセキには不向きにも思えたが…。

 M・デムーロもはっきりとこう言った。「新潟(信濃川特別)で勝った時のようなきれいな芝が合う。3000メートルも心配だった。今回は“キセキ”のような勝利です」

 ベストではない馬場、ベストではない距離で勝った一戦。だからこそ、M・デムーロはこうも補足する。「馬場の悪いレースは馬なりで走ることがとても大事。この馬はとても賢く、一生懸命に走る。だから、こんな馬場でもすごく頑張れる。本当に素晴らしい馬です」。今回はその強みが生きたレースともいえる。

「ストライドが大きく、こういった馬場は滑ると思っていた。それをしのぐほどの後ろ脚のパワーがこの馬にはあったということでしょう。お父さんのルーラーシップも自分の厩舎で活躍した馬だが、彼は日本のGIを勝てなかった。このような素晴らしい馬を出してくれて本当にうれしい」

 今回の一戦をこう振り返った角居調教師。だが、トレーナーもまた3000メートルの距離適性に対して否定的だった一人だ。「神戸新聞杯で負かされた馬(レイデオロ)が出走しない。距離は長いかもしれないけど、3歳馬同士のレースなので使ってみましょうか…そんな流れでの参戦でした」

 馬場適性が明暗を分けるはずだったが、持ち前の潜在能力のみで他の17頭をねじ伏せてしまったキセキ。力量差を測りにくい状況だったにもかかわらず、今回の勝利に無限の可能性を感じさせる理由もそれだ。気の早いメディアからは海外参戦の質問が矢継ぎ早に飛んだ。海外遠征に積極的な厩舎というだけではなく、“超極悪”と表現すべき馬場を克服したことがその背景にあるのは言うまでもないが、同馬の母父はディープインパクト。父ルーラーシップよりも素軽いフットワークをする同馬の適性は日本の軽い芝にこそある気もする。

「もう少し器用さがあれば…と思うが、それを求める馬ではない。この馬に合ったレースを使っていくことになると思う」と角居調教師。現段階で次走は未定だが、そのレースがどこになるのか? その選択に注目したいと思う。