【チャンピオンズC】サンビスタ「牝馬初のJRAダートGI制覇」角居調教師が明かした勝因

2015年12月07日 20時02分

会心の騎乗だったミルコ・デムーロ=サンビスタ(右)

 6日、中京競馬場で行われたダートの頂上決戦・第16回チャンピオンズカップ(1800メートル)を制したのは12番人気のサンビスタ(牝6・角居)。昨秋のJBCレディスクラシックに次いで自身GI・2勝目となるが、JRA・GIはもちろん初制覇。ジャパンカップ優勝のショウナンパンドラに続く牝馬の快挙となった。並み居る牡馬の強豪を打ち破った6歳牝馬の勝因とは? レース終了後の検量室裏の取材から探ってみた。

 

 ここまでチャンピオンズC、前身のJCダート、フェブラリーSと、JRAのダートGIで牝馬の勝利はなかった。そして、角居調教師はその理由を把握していた。

 

「牝馬が勝つには難しいレースだと感じていました。馬を痛めずコンスタントにレースへ出走させるのが我々の仕事ですが、牝馬の場合はご飯を食べなくなったりフケがきたりと、体調維持が難しいところがあります。ましてパワーを求められるダート競走では牡馬に比べて分が悪いのかと思います」

 

 しかし、サンビスタに関しては少し違ったところもあったようだ。今年の2月に引退話が持ち上がるも、まだ馬の状態がフレッシュだということで競走生活を1年延長。

 

「昨年のこのレースで4着といい競馬をしてくれましたし、今年一年も安定して競馬に使えましたからね。少しフケの兆候を見せても競馬へ行けば走ってくれる。上積みは求めづらい年齢ですが、競馬への前向きな姿勢は変わらない。だから仕上げに関してはそれほど難しくありませんでした」

 

 同師が競馬の世界に飛び込んだのはグランド牧場での就労経験が始まり。その牧場で生産されたのがこの馬。引退すれば繁殖牝馬として牧場経営を支えるであろうサンビスタに勲章を与えるため、常々「恩返しがしたい」と語っていただけに、こうした背景も渾身の仕上げの原動力となったことだろう。

 

 それでも角居調教師は勝因を問われると「ミルコが上手に乗ってくれたことに尽きるでしょう」と真っ先に殊勲のパートナーの名を挙げた。

 

 5ハロン通過タイムは60秒2。レースはよどみないペースで流れる。サンビスタは中団の内めという絶好の位置。コースロスを最大限に抑えて直線に向き、絶妙のタイミングで外のスペースへ持ち出すと前でしのぎを削るコパノリッキー、ホッコータルマエを一気に捕らえ、後続の追い上げも封じ込めた。M・デムーロはこう振り返る。

 

「競馬に乗るのは初めてだったけど、金曜のゲート練習でクリスチャン(弟のC・デムーロ)から聞いていた通りに真面目な馬だと感じたし、状態もすごく良かった。イメージした通りの競馬ができた。春は皐月賞、ダービーと勝たせてもらったけど、最近のGIレースではいい騎乗ができていなかった。それだけに今日の勝利はうれしい」

 

 人々の思いを背負い、6歳にして最高に仕上げられた牝馬、ふがいない近況を打破するために大一番で奮起した鞍上。すべてがかみ合っての勝利だった。「来年の春、繁殖に上がるまでにあと1、2戦は使えるかと思います。牡馬とこれだけの競馬をしてくれたのだから、暮れのGI東京大賞典(29日=大井ダート2000メートル)も視野に入ってきます」と同師。名残惜しいが、残り少ない新女王の走りを目に焼き付けておきたい。