ジェンティル「3冠仕様」完成

2012年09月17日 18時00分

 史上4頭目の牝馬3冠へ死角なし——。16日、阪神競馬場で行われた秋華賞トライアル・GⅡローズS(芝外1800メートル)は岩田騎乗のジェンティルドンナ(牝3・石坂)が2番手から押し切る競馬で完勝。GⅠ秋華賞(10月14日=京都芝内2000メートル)へ向け、唯一の懸念材料を消し去るTRとなった。

「秋華賞は内回りコースで、後ろから行った人気馬が届かないことがこれまでは多かった。だから前から行く競馬もできるというのを馬に教えたかった」

 レース直後に語った岩田のこの言葉こそが、このトライアルのポイントだった。

 好スタートから軽く気合をつけられるとスッと前へ。これまでの後方待機のスタイルとは一変した先行策にスタンドがどよめいた。1000メートル通過は1分1秒4のスロー。ゆったりとしたペースの中、多少行きたがるそぶりを見せたものの、がっちり手綱を抑え込む場面が幾度もあった春シーズンとは比べ物にならないほどのスムーズなレースぶりだった。

「賢い馬なので、自分のペースを守って走ってくれた」。岩田が振り返ったように、ポジションを取りにいきながらも、直線ではこれまでの武器である瞬発力が鈍ることなく炸裂。正攻法のレーススタイルで女王の地位をさらに揺るぎないものにした。

 成熟したレース運び。それを可能にしたのはひと夏を越した心身の成長だろう。石坂調教師も「パドックでもおとなしかったし、精神的に大人になった。岩田君のイメージ通りのレースができたね」。プラス12キロとたくましくなった馬体はもとより、メンタル面でも大いに進化を遂げていた。

 自在性を身に着けたことで、牝馬3冠への唯一の不安材料だった“京都内回り”にも対応できるところを証明。もちろん、クイーンSで古馬を蹴散らしたアイムユアーズ、この日の雪辱を期すヴィルシーナなどのライバル陣も3冠阻止に向け、黙っているはずがない。しかしこの日の成熟した走りを見れば、もはやジェンティルドンナに敵なし——。史上4頭目の3冠馬誕生は疑いようがない。

「あとはとにかく無事に。僕は馬の邪魔をしないようにするだけ」。岩田はトライアルを満額回答で答えたパートナーに確信めいた言葉を贈った。もはや本番への課題ゼロ。その名のごとく“貴婦人”となった2冠牝馬に死角はない。