【セントウルS】夏競馬の延長戦!?〝してやったり〟のテンシノキセキ

2021年09月10日 20時00分

ビリーヴ(右)との叩き合いを制したテンシノキセキ

【松浪大樹のあの日、あの時、あのレース=2003年セントウルS】

 秋競馬が始まったのに、どうしてサマーシリーズは今週までなのよ? と疑問に思う方も少なくないでしょうが、今週までは夏競馬のイメージでOKなんですよね。数年前までのセントウルSなんて、まさにそんな感じ。ここが秋初戦になる馬よりも夏競馬を使ってきた馬のほうが強かったですから。

 スプリンターズSまで中2週であり、舞台も本番のコースに少し似ている阪神の芝1200m。ゆえに実績馬が始動戦に選択してくるんでしょうけど、これが意外なほど負ける。

 2年連続で1番人気2着のロードカナロアは分かりやすい例ですよね。2012年がアタマ差で2013年がクビ差。それなりのパフォーマンスはしているんですけど、あれほどの名馬が負けていることは紛れもない事実ですから。暑さに弱く、夏場に立ち上げることが難しいタイプだったからこその結果なのでしょうし、それこそがセントウルSの難しいところなのかもしれません。

 2009年のスリープレスナイトも2着に負けてしまいました。接戦に持ち込んだロードカナロアと違い、こちらの着差は2馬身半。57キロを背負っていたとはいえ、ほぼ完敗の内容です。管理していた橋口弘次郎調教師は敗戦後のコメントを残さず、即座に阪神競馬場を後にしているのですが、これは予想外の結果にイラッとしたからではなく、その後に予定が入っていたためで、それは鳥取県の大山ヒルズに行くことでした。

 その視察に僕は同行する予定だったので、競馬場の入り口で待っていたんです。宮本博調教師もご一緒でした。で、午後4時過ぎくらいかな。雲隠れした(と思われていた)橋口調教師に記者代表の方から電話があって、敗戦の弁を求めらたりなんかして。「1番人気で負けたし、カチンときて帰ったと思ってるんやろうな」と苦笑いしてましたね。橋口調教師は見た目のイメージと違い、気の短い人だったので、記者の方も慌てたと思いますよ。

 この他にも、時のスプリント女王ビリーヴが負けた2003年なんてのもあって、こちらは勝ち馬との差はハナ。函館SSから2か月ぶり…が休み明けになるかどうかはわかりませんが、勝ったのは夏競馬を使っていたテンシノキセキですし、陣営も勝因に「3キロの斤量差と夏場を使った強み」を挙げているくらいですから、9月2週目あたりの開催になるとはいえ、帰厩は残暑が残る8月末になる阪神開幕週は、やはり夏競馬からの延長組が強いということなのでしょうか。

 このテンシノキセキは前述したスリープレスナイトと同じ橋口厩舎の管理馬で、重賞2勝を含む9勝をマークするなど、なかなかの活躍を見せました。2003年のテレビ愛知OPでは1分6秒9という素晴らしい時計でレコード勝ちもしていますし、内容的にもベストパフォーマンスはこれかな、と思うのですが、トレーナーが大好きだった横山典弘騎手に騎乗を依頼して、追い比べを制したセントウルSは〝してやったり〟の結果と内容。その価値はこちらの方が高いと思います。

 ちなみにPOGの時期になると、橋口調教師は母ビーバップアルーの血統を推奨してくるのがいつものパターンで、僕もそれに乗っかって、半姉のクリノトップレディ、半妹のクリノレディスルガ、半弟のクリノワールドをPOGで指名しているのですが、このテンシノキセキだけは指名しなかったという苦い思い出が…。マイナス評価はしていなかったのに、どうしてなんでしょうね? 未だに不思議に思っているんです。

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