【宝塚記念】クロノ牝馬初のグランプリ3連覇! 凱旋門賞挑戦にルメールも太鼓判

2021年06月28日 11時30分

次元の違う脚で突き抜けたクロノジェネシス

 27日、阪神競馬場で行われた上半期ラストのJRA・GⅠ第62回宝塚記念(芝内2200メートル)はクロノジェネシス(牝5・斉藤崇)が圧倒的な人気に応えて優勝。直線で力強く抜け出しスピードシンボリ(69年有馬→70年宝塚→同年有馬)、グラスワンダー(98年有馬→99年宝塚→同年有馬)に続く22年ぶり史上3頭目、牝馬初のグランプリ3連覇を事もなげに成し遂げた。日本競馬の宿願である凱旋門賞制覇がはっきり見えてくる“約束の勝利”だった。

 ドリームレース3連勝を狙うクロノジェネシスと無敗のGⅠ馬レイパパレによる「女傑2頭の対決」――。こんな前評判だった今年の宝塚記念だが、実際は女帝クロノジェネシスによる他の追随を許さない“独り勝ち”だった。

 パドックからひときわ目立つオーラを放っていたクロノジェネシス。しっかりと頭を上げ、踏み込みも力強く、それでいて発汗は見られず、状態の良さを満天下にアピールするかのような周回。ケガで休養中のパートナー・北村友からバトンを受け取り、今回初コンビを組んだルメールも「またがった瞬間から、今日はすごくいい雰囲気だと思った」と振り返る。

 返し馬もスムーズに終え、次に待ち受ける課題はゲートだったが…。いつもゲート内ではチャカチャカするしぐさを見せるため、「意識して集中していた」というジョッキー。ジッと我慢できたことが功を奏し、タイミング良く飛び出してレイパパレのすぐ後ろという絶好のポジションに収まった。

 逃げるユニコーンライオンの後ろで少々行きたがるしぐさを見せていたレイパパレと比較し、終始冷静で落ち着いて走っていたクロノジェネシス。3~4コーナーあたりではモズベッロやカレンブーケドール、キセキなどが一斉に動きだしたが、それでもルメールに全く焦りはなかった。

「ずっと手応えが良かったですから。それに乗ったのは初めてですが、今まで何度も同じレースに出て、彼女のことは分かっていました。この手応えなら、直線でさらに加速できるという確信があった」

 その期待通り、ラスト100メートル過ぎに完全に抜け出すと、圧倒的な力を見せつけ2着ユニコーンライオンに2馬身半の差をつけて圧勝した。その勝ちっぷりはまさに「余裕しゃくしゃく」。真の女傑は1頭だけだった。

 これでスピードシンボリ、グラスワンダー、オルフェーヴル、ゴールドシップという希代の名馬に並ぶグランプリ3勝を成し遂げたクロノジェネシスだが、ここへ向かうまでの過程は決して順調ではなかった。「ずっと一緒に歩んできてくれた北村(友一)君がケガで乗れなくなってしまった、というのは大前提として、前走のドバイ遠征(シーマクラシック2着)のためすごく痩せてしまって、帰国後は450キロほどの体重になってしまっていたんです」。苦難のスタートラインをこのように明かした斉藤崇調教師。牝馬ということもありその調整は困難を極めただろう。

「その状態でノーザンファームしがらきへ放牧に出しましたが、500キロくらいにまで戻してトレセンに帰してくれた。牧場と連携を取ってやれたというのも大きいですし、そして馬自身がよくここまで復活してくれたという気持ちです」と愛馬のタフネスさをたたえた。

 以前はクロノジェネシスにとって大きな壁だったアーモンドアイの主戦を務めたルメール。比較こそできないだろうが、自身初となる宝塚記念制覇を成し遂げたパートナーについて「GⅠ競走において、どんな馬が相手になっても、毎回結果を出す。これが本当のGⅠ馬」とその力量を絶賛する。次走は未定だが、当然、登録を済ませている凱旋門賞(10月3日=仏・パリロンシャン競馬場)への出走に期待がかかる。

「ヨーロピアン血統ですし、あちらの馬場は合うと思う。むしろ、重ければ重いほどもっといいパフォーマンスを発揮できるのでは。トライするべきだと思いますよ」

 欧州競馬を知り尽くしたルメールからの後押しは何より大きい。日本の中長距離レースで実質敵なしとなった彼女が、欧州最高峰の舞台で戦う日がもうすぐそこまできているのかもしれない。

 ※英大手のブックメーカー・ウィリアムヒルによると、今年の凱旋門賞はGⅠ4連勝中のラブ、英オークスを圧勝したディープインパクト産駒スノーフォールが人気を二分し、タルナワ(BCターフ勝ち馬)がそれに続く戦況となっている。これらはすべて牝馬であり、日本だけでなく世界的にも強い牝馬の時代が到来。宝塚記念のレース前は単勝17倍の低評価だったクロノジェネシスだが、宝塚圧勝で単勝13倍まで上昇した(27日現在)。もしクロノ参戦となれば今年の凱旋門賞は“世界最強牝馬決定戦”の様相となる。

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