岩田康が結果を残さなければならない理由「クリノガウディーと目指す夢・後編」

2021年06月16日 15時01分

悲願のGⅠ制覇を目指すクリノガウディー

【赤城真理子の「だから、競馬が好きなんです!!!」】

「ガウディーを勝たせてくれて、ありがとうございました」

 記者失格と言われるかもしれませんが、私はジョッキーさんに取材をするのが大の苦手。もともと人と話すことが得意ではない上に、日々命がけで馬と向き合っておられる方に私みたいなニワカが…と尻込みしてしまうんです。競馬場のレース後はインタビューにも参加しますが、やはり皆さん鬼気迫っていて、別世界を生きている方々だという感じがするんですよね。

 でも、お前はガウディーの何なんだと言われたら堂々と「ファンです!」と言える今回は、何はともあれ岩田康騎手にお礼を言いたかったんです。

「ガウディーが好きなの?」

 ちょっと驚いた表情をしながらも、そう返事をしてくれた岩田騎手。私は「大好きなんです。ずっと応援していたんです」と即答しました。すると「そうか。2勝して賞金を加算できたし、これからは使いたいレースを選択できる。この秋は大きいところを狙えるよ」と力強い言葉。今なら話せそうだと思い、厩舎の方々から聞いていた付きっ切りの調整過程などについても聞いてみました。

「クリノガウディーのことはもともとすごく強い馬だと思ってた。乗ったことはなかったけど、全部のレースを見ていて、絶対にGⅠを勝てる馬だと思ってたよ。色々あって…この馬に乗せてもらえることが決まったとき、素直に嬉しかった。でも、ガウディーについて〝もう終わった馬〟だなんていう声があるのも知ってた。それは俺も同じ。実は昨年の4月くらいに、もうジョッキーを辞めようかと思ってたんだ」

 昨年の4月頃、「騎手としての限界を感じていた」という岩田騎手。そしてその直後、落馬で馬の下敷きになり、大けがをしてしまいます。

「ありとあらゆる骨が折れて、あばらもボロボロ。なのに俺、元気だったんだ。こんな大けがの割に、神経はどこもやられてない。ああ、まだ馬に乗ってていいって言われてるのかなって思った」

 馬に乗れない日々が続くと、馬に乗りたい、まだ騎手でいたい、という想いが強くなったと岩田騎手は続けます。

「俺は一回、辞めようと思ったジョッキー。つまり一回は終わったみたいなものや。そんな騎手が世間から認めてもらうにはどうしたらいい? 結果を出すしかないんよ。ガウディーもそう。終わった馬、なんて声があって、俺や厩舎の人たちが〝いや、終わってないぞ!〟といくら叫んだって結果を出さなきゃ聞いてもらえない。勝つことでしかガウディーの力を証明できないと思ったから、そのための調教をした。別に大したことはしてないよ。馬とコンタクトを取って、レースでのイメージをする。こういう走りをさせたいなと思った時に足りてないことを調教でやる。それだけだった」

 岩田騎手が調教をつけるようになってから、馬場や逍遥馬道でのふんだんなフラットワークが取り入れられました。岩田騎手から見て彼はどんな馬なのでしょうか。

「ひっかかるってイメージがあるやろ? 全然、そんなことないよ。素直で、走ることに対してまっすぐな気持ちを持ってる。乗ってみて余計に勝たせてあげたいと思った」そう。

 それに「担当者(丸田助手)もすごく真面目で、馬のことを本気で考えてる。そんな人から最後のバトンを渡されるわけやで。絶対に結果を出さなあかんやん」と。さらに続けて、「俺はクリノガウディーでGⅠを取る。それが目標」とも語ってくれたのです。

 私が初めて好きになった、冒頭のレッツゴードンキの主戦も岩田騎手でした。ドンキについては「俺もまだ未熟だったから…。もっと勝たせてあげられた、GⅠをもっと勝てた馬だったのにと思ったりするけど」とおっしゃっていましたが、見ているだけでは分からなかった、騎手としてのプロ根性を知れて良かったと思いました。
 
 丸田助手も「これは縁だったと思います。ガウディーでGⅠを獲る、そんな夢を一緒に追っていけると思ったら嬉しい」と言っています。私も記者として、ファンの一人として、その夢を見届けたい。きっと数えきれないほどいるであろうクリノガウディーのファンの皆様に、陣営の決意と思いをお届けしたく、今回の記事を書かせていただいた次第です。

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