【日本ダービー】エフフォーリア隠しギア搭載 焦点は「何馬身突き放すか?」

2021年05月24日 11時30分

史上8頭目の無敗2冠を狙うエフフォーリア

 満天下注目の大一番・第88回日本ダービー(30日、東京競馬場=芝2400メートル)が刻一刻と迫っている。2018年に生産されたサラブレッド(3歳)7398頭の頂点に、一直線に駆け上がろうというのは4戦無敗の皐月賞馬エフフォーリア(牡・鹿戸厩舎)。昨年のコントレイルに続いて史上8頭目となる無敗の2冠馬が誕生するのか?“鹿戸番”虎石晃記者のジャッジは勝ち負けよりも「何馬身突き抜けるのか」――。その渾身リポートをとくとお読みいただきたい。

 重賞初挑戦だった2月のGⅢ共同通信杯が4番人気。そしてGⅠ皐月賞では2番人気と、デビューから半年以上たってようやく実力に人気が追いついてきたエフフォーリア。日本ダービーではルメール騎乗のサトノレイナスがいるため、またも2番人気にとどまるかもしれないが、もはやその器の大きさは誰しもが認めるところ。それに加え、クラシック直前には、厩舎内から「ダービーよりも皐月賞のほうがハードルが高いかも」という声が出ていた。大きな山を越えた今、頂上決戦が直前に迫っているのにもかかわらず、厩舎はいつもと変わらないリラックスムードに包まれている。

「もともとフットワークが大きい馬だし、ゆったりと走らせたほうが持ち味が生きるタイプ。新馬戦は小回りの札幌で勝ったけど、その時から東京で走らせたいと思っていたんだ」

 かつて騎手として346勝を挙げた鹿戸雄一調教師は、自身の経験から同馬の本質を早々に喝破していた。実際、百日草特別→共同通信杯と他馬を子供扱い。とりわけ、共同通信杯の2、3着馬が次走で重賞を勝ったようにハイレベルなメンバーだった。まさに東京でのパフォーマンスは格別。しかし、それゆえ「小回りではうまく流れに乗れるかが大事だから…」と、皐月賞前には言葉を濁すことがあったのも無理はない。されど同馬の次元は違った。結果は、2着タイトルホルダー以下を3馬身突き放して圧倒。歴史的名馬の94年ナリタブライアン、11年オルフェーヴル以来の“大差”勝ちであった。

「新馬、1勝クラス、GⅢ、そしてGⅠ。クラスが上がるたびに着差を広げていくんだから、たいしたもんだよね。昨年までは追い切りやレースでの反動が大きかったし、背腰が弱くて腹痛を起こしがち。大事に使ったかいがあって今は順調に乗り込めるようになった。馬体重こそ変わらないが、筋肉が浮き上がるようになってきたことで一層、見栄えのする体つきに。皐月賞のパドックでは堂々としていたように気性も大人になってきた」

 指揮官は心身の成長ぶりに目を細める。

 今月13日にノーザンファーム天栄から帰厩。16日に坂路で軽く時計を出して迎えた19日の南ウッドコースで行われた1週前追い切りが、まさに師の言葉を実証するものだった。前半の緩やかなペースの中でも折り合いを欠くシーンは見せず、3頭併せの最後方を追走。先行2頭も楽なペースだったため追いつくのは難しいかと思いきや、ゴール直前で瞬間移動――。終わってみれば馬なりのままでフィニッシュ(5ハロン69・1―39・0―12・1秒)。ここにきてもう一段階上のギアが備わってきた。

 鞍上の横山武は「(今回のレースは)いつもより間隔が詰まっているが、乗っていて疲れはまったく感じなかった」と納得の表情を見せれば、厩舎の番頭格、水出助手も「皐月賞が現状ではパーフェクトと言えるデキ。今回はそれがキープさえできればいいと思っていたけど、ひょっとしたらそれを上回ってしまうかも。いずれにせよ今回も自信を持って送り出せます」と力強く締めた。

 前述したように、中山2000メートル→東京2400メートルへの舞台替わりはエフフォーリアのパフォーマンスレベルを飛躍的にアップさせるのは間違いない。皐月賞以上の状態とあらば「何馬身突き放してしまうのか?」。第88回日本ダービーへの興味は、もはやそれに尽きるのではなかろうか。

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