【天皇賞・春】ウインマリリン 阪神開催を追い風に“第2のレダ”となる!

2021年04月26日 11時30分

天皇賞・春の阪神コース開催で出走に踏み切ったウインマリリン陣営

 春のGⅠシリーズ再開の今週末は、阪神競馬場で第163回天皇賞・春(5月2日=芝外→内3200メートル)が行われる。確たる主役不在の中で響いてくるのは「牝馬の時代」。68年の時を超えて牝馬による春の盾制覇がなされるのか。牝馬3頭の中で注目度大なのはフィエールマンで19、20年と天皇賞・春を連覇した手塚調教師が送り込むウインマリリン。歴史の扉が今開く――。

「牝馬の時代」とうたわれてから何年が過ぎただろう。ここ13年で牝馬がJRA賞年度代表馬の座を射止めたのは計8回。ウオッカ(08、09年)に始まり、ブエナビスタ(10年)やジェンティルドンナ(12、14年)、リスグラシュー(19年)からアーモンドアイ(18、20年)に至る。

 競馬シーンの核を成すのは常に男勝りの女帝であり、昨年に至っては栄華を極めた一年でもあった。芝におけるJRA古馬混合GⅠ10戦中、実に9戦が牝馬によるV。牡馬が67連勝中の天皇賞・春(フィエールマン)だけが、男の面目を唯一保っただけだった。

 しかし、今年は、その“最後のとりで”が崩壊の危機を迎えている。メロディーレーン紅一点だった昨年と異なり、今年はウインマリリン、カレンブーケドールと実績十分の本格派もエントリー。68年ぶりの春の盾制覇へ女性軍の目の色が違うのだ。むろん気になるのは偉業達成の可能性だが…。それを論じる前に、まずは歴史的快挙が起きた1953年に時計の針を戻してみよう。

 当時、1番人気に支持された4歳のレダが勝利。牝馬で天皇賞・春を勝ったのは同馬しかいない。桜花賞2着、ダービー10着、菊花賞4着とクラシックこそ手が届かなかったが、古馬の牡馬相手にタイトルを取る離れ業を遂げたのである。とはいえ特筆すべきは、2着も同世代の牝馬クインナルビーだったこと。前年の皐月賞&ダービーでは牝馬タカハタが2、1番人気に支持され、振り返れば3冠競走すべてで牝馬が2着を死守した。まさに“オンナの時代”の先駆けだったのだ。

 さて、そんな伝説の名牝にイメージがそっくりかぶるのが明け4歳の牝馬ウインマリリンではなかろうか。オークス2着、エリザベス女王杯4着とビッグタイトルには無縁。しかし、昨年のジャパンCで3着したデアリングタクト、今年の大阪杯を制したレイパパレなど、世代レベルの高さは屈指だ。“第2のレダ”誕生へ…。昨年はフィエールマンで連覇を果たした「天皇賞・春を知る男」手塚調教師がポジティブな参戦理由を語る。

「京都の外回りコースは決め手勝負が必至。例年通りなら出走は見送ったんじゃないかな。だが今年は阪神の内回り。立ち回りのうまさで勝負するこの馬には、願ってもない舞台になったからね。牡馬相手の56キロがどうかだが、充実度にかけてみたい」

 歴史の扉に手をかける同馬は、すでにひとつの偉業を成している。カレンブーケドール、ワールドプレミアの昨年有馬5着同着馬の追撃をしのぎ切り、実に33年ぶり(88年メジロフルマー以来)の牝馬Vを達成した前走・日経賞である。担当する藤井助手は牡馬顔負けの成長力を評価する。

「前走はジョッキーがうまく立ち回ってくれたけど、仕上がり自体もデビュー以来最高と感じていました。そして今回はさらに体に幅が出て馬が充実してきた感じ。昨年同様、この時期はカイバをしっかり食べてくれるし、大村助手が乗り手になってからは気持ちの部分でも随分リラックスできるようになりました」

 追い風は阪神へのコース替わりにとどまらない。装鞍所やパドックでの落ち着きがカギとなる同馬にとって、無観客開催の再開もきっと大きなプラスとなるだろう。68年ぶりの天皇賞・春奪取へ――。とりでの頂に立つジャンヌ・ダルクの誕生は刻一刻と迫っている。

関連タグ: