【フローラS】「その馬、重賞を勝てるんじゃないか」 予言を実現したデニムアンドルビー

2021年04月23日 20時20分

未勝利Vから連勝を決めたデニムアンドルビー

【松浪大樹のあの日、あの時、あのレース=2013年フローラS】

 フローラSと聞いて最初に思い出す馬は1994年のゴールデンジャックです。もっともフローラSではなく、前身の4歳牝馬特別時代の勝ち馬ですけど。

 アフリート産駒の持ち込みで母父はダンチヒ。現在の感覚ならダートの短距離馬というイメージになるんでしょうが、海外馬の情報もデータも簡単に手に入らない時代。正直、僕はどこに適性があるかなんて考えないで馬券を買っていましたね。末脚が切れるというだけで東京向き──。そんな感覚で買った馬券が当たるんですから平和な時代でした。

 1200メートルの中京(当時は小回り)で重賞を勝った馬が東京の2000メートル、その次の2400メートル(オークス)でも好走するなんて、現在の感覚では理解できませんし、今はそもそもこんなローテーションで出走してこないんじゃないかな。流行りのウマ娘も距離適性には結構シビアですし(笑)。

 競馬ファンだったころの話はここまでにして、トレセン入りしてからの話をしましょうか。今回の主役は2013年のフローラSを勝ったデニムアンドルビー。フェアリードールの流れをくむ血統の馬で、母のベネンシアドールはトゥザヴィクトリーやサイレントディールの半妹にあたります。

 その成績を改めて確認して思い出したんですけど、未勝利を勝ったばかりでの重賞挑戦だったのに1番人気に支持されていたんですよね。このあたりは「血統に加え、角居厩舎のブランド力がファンの支持を集めた理由ではないでしょうか」と同馬を担当していた小滝助手。僕自身の記憶が鮮明でないこともあり、今回は関係者に話を聞くパターンです、はい。

「2月の遅いデビューでしたよね。体がない馬で最初は食いも細かったんですけど、未勝利を勝ったあたりくらいから飼い葉を食べるようになってきて、それで走りも良くなった。未勝利を勝ったときに他厩舎の厩務員さんから〝その馬、重賞を勝てるんじゃないか〟と言われたのを覚えていますね」と同助手。

 その予言通りに重賞を制覇し、続くオークスでも1番人気に支持されるんですけど、このときにはすでに状態のピークを過ぎ、フローラSほどの脚は使えなかったんです(3着)。まあ、僕がその事実を知ったのはレース後だったので、結構なダメージを食らったのですが(涙)。

「小さいだけでなく、脚も短かったんですよね。その短い脚を一生懸命に回転させて走る。いかにも小柄な牝馬だなあと思わせるフットワークだったんですが、実はパワータイプという不思議な馬でした。道悪も得意でしたし、タフな展開にも強かったですからね」(小滝助手)。

 同年のローズSは、まさに道悪馬場。このレースを最後に勝ち星から遠ざかってしまうデニムアンドルビーですが、同年のジャパンカップではジェンティルドンナにハナ差2着。2015年宝塚記念ではラブリーデイにクビ差2着と要所で記憶に残るパフォーマンスを見せてくれました。しかも、人気を落としたところで走るんですよ。見極めが難しかった半面、彼女を追いかけていたファンはおいしい思いをできたのではないでしょうか。

 ちなみに今年のフローラSに出走するアンフィニドールの母ヤマノフェアリーはデニムアンドルビーの全妹です。この馬、能力がかなり高そうですし、伯母に続く未勝利→フローラSのぶっこ抜きがあるかもしれませんよ。

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