<新人騎手>ビッグマウスではない!人気馬で結果出す松若風馬

2014年08月16日 09時00分

特別勝ちも同期一番乗り。7月20日の中京マカオJCTをホープタウンで制した

<連載:今年は当たり年!?新人騎手ローカル奮闘中(最終回)>

「騎手をやってるわけですから当然日本ダービーを勝ちたいという思いはあります。でもそれが自分にとって目標というわけではありません。それを目標にしてしまうと歩みが止まってしまいますから」

 あどけなさの残る表情が印象的な松若風馬(18)から思わぬコメントが返ってきた。今年2月にJRA競馬学校騎手課程の第30期生としてのカリキュラムを終え、デビューしたばかりの新人ジョッキー。そんな松若が、ダービーを勝って満足し、自分の成長が止まることのないよう肝に銘じているというのだから驚かされる。

 装蹄師の父に連れられ幼少のころから通った競馬場。父の職業以上に松若少年の心をつかんだのが“騎手”だった。ゴール板を最初に駆け抜けてみたいと思ったのがその理由だという。

「小学校に入学するとすぐに乗馬を始め、土日は毎週乗ってました。中学ではサッカー部所属でしたけど部活動をしながら平日も乗ってました。小学3年生のころに騎手という職業を意識し、小学5年生で騎手になることを決めました」

 最初にゴール板を駆け抜けるべき仕事に就きデビュー2戦目で初勝利。以後順調に星を伸ばし、7月27日の中京でリラヴァティ(3歳上500万下)で勝って今年の新人6人の中で最速で20勝に到達した。このことについて尋ねると、「数字(勝ち鞍)のことを特に意識したことはありません。この時期に20勝挙げられたことはうれしく思いますが、あくまで通過点です」と冷静に語ってくれた。

 ルーキーという響きとは正反対の物言い。しかし、これがただのビッグマウスではないことを示すデータがある。

 新人騎手6人の中で1番人気の騎乗数は20鞍(10日終了時点)とトップ。そこで9勝を挙げており、人気馬できっちり結果を出しているのだ。「能力のある馬に乗せていただいているわけですから勝たなければいけないという思いはあります。でもそれを意識することで(レースに行って)硬くなることはありません」

 6月に開幕した北海道シリーズ騎乗のため岩田、菱田ら複数の有力騎手が北へ旅立ったことで西日本残留の松若の騎乗馬の質が向上。その好機をつかむ形で3回阪神2週目(6月14~15日、函館開幕週)に3勝を挙げて勢いに乗ると、その週から8週連続勝利を挙げて全国リーディングは36位(10日終了時点22勝)。ベスト30は目前だ。

 己を律してさらなる高みを目指す若武者の成長から目が離せない。

☆まつわか・ふうま=1995年9月4日生まれ。滋賀県出身。栗東・音無秀孝厩舎所属。血液型=B。3月1日の阪神競馬でデビュー。翌日の小倉2Rをトレノカチドキで初勝利。10日終了現在22勝と同期のトップを走る。
 趣味は親しい厩務員に誘われて始めた海釣り。「今月も予定あり」とのこと。