【クイーンS】重賞初制覇キャトルフィーユ 適性見抜いた角居調教師の眼力

2014年08月04日 20時00分

3頭同タイムの激戦は真ん中のキャトルフィーユに軍配が上がった

 3日、札幌競馬場で行われたGⅢクイーンS(芝1800メートル)は、2番人気のキャトルフィーユ(牝5・角居)が重賞初制覇。従来のタイムを0秒7も更新するレコードでゴール前の激戦を制した。陣営の“予想”を大きく上回った同馬の高いパフォーマンス。その理由を探る。

 これまで何度も大レースを制してきた福永が、戦前に描いていたレースプラン。それはひとつではないだろう。だが、今回はその予測を超えた展開が待っていた。

「内枠からケイアイエレガントが逃げると思っていた。向こうが控えるようならハナに行ってもいい」という想定は、わずか100メートル走った地点で崩壊する。大逃げをしたオツウが刻んだ1000メートル通過は57秒8のハイペース。追いかけた先行馬にとって、惨敗を覚悟しなければならない厳しい流れだ。直線半ばで先頭に立ったキャトルフィーユだが、展開的に向いたのは内から進出してきたアロマティコ、そして外から伸びたスマートレイアー…。誰もが万事休すと思っただろう。

 だが、沈んでいくはずのキャトルフィーユはゴール前で再加速。追い込んできた2頭をハナ+クビ差で抑え込んだ。「最後はよくしのいでくれた。今日は返し馬からデキの良さを感じたし、3歳秋のローズS(4着)以来だったけど馬が力をつけていた」と福永。

 一度も抜かれることなく踏ん張り通した今回の勝利は、着差以上に大きな価値があるが、厳しい展開を覆せたのは単純に状態が良かったからだけではない。

「能力が高いのはわかっていたけど、(中央場所の)硬い馬場ではどうしても切れ負けしていた」(角居調教師)

 昨年のこのレースに準オープンの身で挑んで5着に善戦させるなど、短所をカバーできる洋芝適性を陣営は早い段階から見抜いていた。高速馬場に強いディープインパクト産駒にとって、パワーが必要とされる洋芝での重賞制覇は初めて。固定観念にとらわれなかった采配の勝利と言うべきかもしれない。土曜のJ・GⅢ小倉サマージャンプ(メイショウブシドウ)でもディープインパクト産駒の障害重賞初Vを決め、JRA全10場重賞制覇を達成。“世界のスミイ”のすごさを改めて見せつけた格好だ。

 今後は8・24札幌記念には向かわず、秋に向けて充電に入る予定。「パドックでジョッキーと話したレースイメージとは違ったけど、新たな一面が見られた。この1勝で秋が楽しみになった」。初の重賞タイトルに満足することなく、早くも秋のGⅠロードを見据えたトレーナー。北海道で進化したキャトルフィーユが高速馬場でどんな走りを見せるのか。角居調教師の次の一手に期待したい。

関連タグ: