【日経新春杯】リスポリを背にルーラーシップが快勝 香港制覇へと続く名血の歩み

2021年01月12日 20時35分

愛情たっぷりにルーラーシップを称えたリスポリ騎手

【松浪大樹のあの日、あの時、あのレース=2011年日経新春杯】

 現在でもテンポイントとセットで語られる日経新春杯。今年で68回目と伝統のある1戦ですが、僕は力量差を意図的に埋めてしまうハンデ戦が好きではありません。長距離のレースに好んで管理馬を出走させ、この日経新春杯も2008年アドマイヤモナーク、2016年レーヴミストラルで勝っている松田博資調教師もハンデ戦には否定的でしたね。

 特に日経新春杯のようなGⅡ競走は賞金が高く、それが出走決定順に大きく影響してくる。軽ハンデで勝った馬が目標とするレースに出走できて、重いハンデを背負わされて負けてしまった馬が出走できなくなる可能性もありますから。

「馬の値段は同じでなく、大きいレースを勝ちたいと思っている馬主さんはそれだけの金額を使っている。力で負けたのなら仕方がないけど、ハンデ戦はそうではないやろ? 強い馬が勝つという競馬の理屈には合っていないと思うけどな」(松田博資調教師)

 ハンデについて聞くたびに返ってきた答えがこれ。それでも数の少ない重賞はレースの選択肢が少なく、出走させるしかないのが実情。個人的にはハンデ戦どころか、別定戦さえも不要と思っているのですけど、話が逸れ過ぎてしまうのでここまでにしておきましょうか。

 実力馬は敬遠するレース…と勝手に思い込んでいた日経新春杯ですが、出走馬のレベルが高かった年も存在していて、代表的なのは2011年。

1着ルーラーシップ(2番人気)
2着ヒルノダムール(3番人気)
3着ローズキングダム(1番人気)でした。

 4番人気の支持を受けながら、10着に失速したのは翌年の天皇賞・春を制するビートブラック。明け4歳の素質馬が揃った1戦だったんです。ちなみに一昨年の勝ち馬グローリーヴェイズ、4年前の勝ち馬ミッキーロケット、5年前の2着だったシュヴァルグラン…GⅠ馬へと出世を果たした彼らの共通点は明け4歳の牡馬だったことです。これが一つのポイントと言えるかもしれません。

 今年はアドマイヤビルゴが勝つようなら、ちょっと面白いかもしれませんよ。

 2011年の話に戻りましょうか。見事に結果を出したルーラーシップですが、翌週のAJC杯に出走する話もあったことはよく知られた話です。参戦が決定する前、ルーラーシップを担当していた岸本助手から「仮に自分が選べるとしたら、どちらを選ぶ?」と。僕は「(ウンベルト)リスポリを確保しているのなら、絶対に日経新春杯」と答えた記憶があります。

 上がり33秒台を何度も記録しているルーラーシップですが、切れるというイメージを僕は持っていなかった。長くいい脚を使うタイプと思っていたんです。追えるリスポリ騎手がある程度のポジションを取り、びっしりと追ってくるレースを見てみたかったんですね。もちろん、フットワークの大きい同馬に中山は合わない…と前走の有馬記念を見て思い始めた時期だったのも影響していたかもしれません。

「でも、ローズキングダムも出てくるんやろ?」という同助手に「2キロの斤量差をもらえれば勝てると思う」と。実際には58キロのローズキングダムに対してルーラーシップは56・5キロ。予想したよりもハンデ差をもらえなかったんですが、相手は有馬記念を疝痛で出走取消をしたばかり。体調に問題はなかったでしょうけど、万全のようには感じなかった。それは直線でモタれてしまったレースぶりに表れていたようにも思います。というか、なんだかんだと文句を言ってもハンデのことを考えて話してしまうものなんですね。勉強になりました(笑)。

 ルーラーシップのハイライトと言えば、悲願のGⅠ制覇を決めた翌年の香港クイーンエリザベス2世カップ。このときの鞍上もリスポリ騎手でした。日本を出るときに「ウンビーが乗ってくれるのが心強い」と岸本助手は言ってましたが、僕もルーラーシップのベストパートナーは彼ではないかと思っているんですよ。