【阪神JF】波乱の主役は“挫折を知る”ユーバーレーベン

2020年12月08日 15時00分

敗戦を糧に大一番に挑むユーバーレーベン。無敗馬たちをアッといわせるか

【阪神ジュベナイルフィリーズ(日曜=13日、阪神芝外1600メートル)dodo馬券】秋のGⅠロードもラスト3週となり、今週から“2歳シリーズ”に突入。日曜は若き女王を決める第72回阪神ジュベナイルフィリーズが行われる。GⅢ2勝の“白毛一族”ソダシ、メイケイエールなど無敗馬に人気が集まるだろうが、たとえ戦歴に傷があっても「理由のある敗戦」ならマイナス評価は早計。連敗からの“生き残り”を狙うユーバーレーベンが波乱の主役を担う。

 1戦1勝であったとしても“負けていない”という事実が持つ意味は大きい。今年の2歳女王決定戦には6頭の無敗馬が登録。史上初の無敗の3冠牝馬デアリングタクトを超える、当レースを含めた“無敗の4冠”にチャレンジする資格はこの6頭しか有していないからだ。しかし、負けていないことが無敵を意味するとは限らない。余力のない勝利、もしくは恵まれVであった場合は過剰な期待を背負うことにも…。

 無敗馬の中で1番人気候補はソダシ。3戦3勝の戦歴にケチはつけられない。ただし、3戦の4角通過([2]、[1]、[2])が示すように戦法は先行押し切り。不利を受けることなく、力を出し切ってのパフォーマンスだ。出遅れや不利で自分の型にハマらなかった際はどうなるか?という不安も拭えない。

 ユーバーレーベンはソダシが3連勝を決めたGⅢアルテミスSで0秒8差9着。この結果をうのみにすれば大一番での逆転は期待薄だが…。決して力負けでないことは最速上がり(36秒6)を駆使してソダシにクビ差の2着まで迫ったGⅢ札幌2歳Sのパフォーマンスを見れば明らかだ。

 では、アルテミスSでなぜ差を大きく広げられてしまったのか? 課題であったゲートを克服し、スタート直後は好位追走を狙える位置だったが…。ここからレースぶりが“暗転”する。やや力んだ走りを見せたため、鞍上は折り合いに専念することを選択。そのため他馬に複数回、進路をカットされて3コーナーでは14番手まで後退。直線の攻防でもスペースを探しながらの競馬で、外に持ち出すロスも大きかった。参考外の一戦だ。

「スタートこそ良くなりましたが、結果的にはリズムが悪くなってしまいました。それでも今はすっかり落ち着いていますし、体調に不安はありません」とは手塚調教師。

 先を見据えたレース運びが結果的に裏目に出たにすぎず、指揮官の表情に悲観の色はない。「器は今年重賞を勝ってくれたウチの3歳牝馬(マルターズディオサ=GⅡチューリップ賞&GⅢ紫苑S、ウインマリリン=GⅡフローラS)にヒケを取らない。ソダシはもちろん強いけど、決してかなわない相手ではないからね。コーナーごとに後れを取ることがないワンターンの阪神外回りという舞台設定も魅力。あとはミルコ(デムーロ)がこの馬の力を引き出してくれれば…」

 敗戦を糧に這い上がる、こういう“叩き上げ”タイプこそが、挫折を知らない無傷の連勝馬にとって最も怖い存在かもしれない。