
アーモンドアイが有終Vを飾った第40回ジャパンカップ(29日=東京芝2400メートル)。無敗で挑んだ3冠牝馬デアリングタクトが古馬たちと接戦の3着争いは制した。初めて土がついたが、そのレースぶりは「暗」ではなく「明」。アーモンドアイ不在の次世代を背負っていく覚悟を見せた走りに、確かな競馬界の将来が見えた。
アーモンドアイにこそ0秒2の後れは取ったものの、同期コントレイルとの着差はわずかにクビ。初めての敗北を味わったデアリングタクトだが、古馬との初対決、しかも頂上決戦での3着確保は3冠牝馬の威厳を保つに十分な力走だった。
前走・秋華賞のパドックではテンションの高さが目立ったが「落ち着いていて雰囲気は今までで一番と言えるほど。スタートも決まっていいポジションで折り合って流れに乗れた」とは松山。アーモンドアイをすぐ前に置く形で道中は7番手を進んで直線の攻防へ。ワンテンポ遅れて外めを進出してきたコントレイルとともに追撃開始と思われたのだが…。残り300メートル付近から鞍上の意に反して内ラチのほうへ進んでしまう。
「本当はコントレイルと併せ馬の形が理想だったんですが…。3歳牝馬同士なら持ったままで上がってこれますが、仕掛けがワンテンポ早くなった。その分、苦しくなったのか内にモタれてしまった」と杉山晴調教師。進路取りで生じた誤算を悔やんだ。
それでもゴール前の攻防では内グローリーヴェイズ、外カレンブーケドールの間をグイッと伸びて歴戦の古馬に先着は果たした。
「モタれたことは今後の課題として修正していきたい。それでも本当に強い相手にヒケを取らなかったし、よく頑張ってくれた。まだこれからの馬だし、今後も成長してくれるはず」と主戦の視線はすでに先を見据えている。
今後、続戦するのか休養に入るかは未定だが、この日でターフを去った偉大な先輩同様、牝馬の枠を超えた活躍が期待できよう。