【京都2歳S】「負けても不思議はないな」と思ってしまったエピファネイアの〝化け物〟エピソード

2020年11月28日 06時10分

未完成ながら楽々と抜け出したエピファネイア

【松浪大樹のあの日、あの時、あのレース=2012年京都2歳S】2001年はアドマイヤドン、02年はエイシンチャンプ、09年はヴィクトワールピサで12年はエピファネイア。京都3歳S時代の1993年は翌年の三冠馬ナリタブライアンが勝っています。なかなかの名馬が勝ち馬に名を連ねる京都2歳なんですが、なんとなく地味な印象なんですよね。僕だけかもしれませんが。

 エイシンチャンプはそれほど詳しくないですけど、それ以外の馬に関してのエピソードトークならトレセン1──とまでは言わずとも、五本の指には入るだろうと自負しています。エピファネイアなんて本を一冊書きたいくらい。しかし、このレースに関してのそれはほとんど思い出せません。

 POG指名馬だったヴィクトワールピサも同様。どんなレースだったのか記憶もない。成績を調べ、この1戦が5頭立てだったことに驚いてしまったくらいです。そうだったっけ? デビュー戦はよく覚えているんだけどな。負けるシーンなんて想像もしていなかったのに負けてしまい、記者席でひっくり返るくらいにビックリした。まあ、勝ったのはローズキングダムでしたし、現在なら「伝説の新馬戦」なんて見出しで書かれるのかもしれませんが。

 そんなこんなでエピファネイアです。このレースの単勝オッズは1・2倍。次のラジオNIKKEI杯2歳Sのそれは1・9倍。どちらのレースも◎を付けて能力に疑問を持ったこともないんですけど、実は「負けても不思議はないな」と思っていた…です。

 なぜなら、この時期はソエを痛がっていたので。ラジオNIKKEI杯のときのほうがひどかったような気もするんですが、この記憶はあいまいです(苦笑)。とにかく、あまりいい感じではなかったんですよ。まあ、エピファネイアという馬はそもそも絶好調と思わせたことがほとんどなくて、ダービーの前なんてコントロール不能のような状況に見えたくらい。角馬場をものすごい勢いで走っている馬がいるから何かな…と思ったら、それがエピファネイアで他厩舎の知り合いから「ダービーでいらない馬を教えましょうか? エピファネイアです」なんて言われてしまったくらい。恥ずかしながら、僕はダービーのエピファネイアを無印にしてるんですよ。担当厩舎の馬なのに。いや、本当に「やっちまった」レースでした。

 そう言えば、デビュー前は熱発騒ぎなんてのもありましたね。まあ、直線だけで3馬身もちぎってましたけど。この週の金曜日だったかな? ウオッカを担当していた中田助手が自分の担当馬でもないのに「絶対に勝つ馬を教えましょうか? モノが違います」と声をかけてきたんです。

「知ってるけど、熱発明けだろ。それにダート馬って話だけど」と返すと「熱発明けだし、ダート馬でしょうけど、そんなのは関係ありません。モノが違います。化け物です」。熱発騒ぎがオッズにも影響した新馬戦は2・9倍。これがキャリアで最もおいしい馬券だったように僕は思っています。8・9倍の14年ジャパンCのほうがおいしかったんじゃないかって? いや、このときも実は疑ってたんですよ。底の状態だった天皇賞・秋から簡単に巻き返すことはできないだろうって。それが引っ掛かったまま押し切っちゃった。この時もひっくり返るくらいに驚きましたね(笑)。