【GⅠマイルCS】ディープかハーツか…サリオスが負けられない〝血の代理戦争〟へ出陣

2020年11月16日 16時00分

僚馬を引き連れて美浦トレセンを闊歩するサリオス。若き総大将といった雰囲気だ

「3強」による世紀の大決戦・ジャパンCが今から待ち遠しいが、1週前の第37回マイルチャンピオンシップ(22日=阪神芝外1600メートル)もGⅠ馬が8頭の超豪華メンバー。中でもコントレイル以外には負けたことがない3歳サリオスが最適距離でマイル王を狙う。近3戦GⅠ②①①着のグランアレグリアは強大なライバルだが、サリオスには“引退後”の評価もかかった一戦。陣営の手応え、そして勝算は? 

 生産界をけん引してきたディープインパクトの昨夏の死により、令和の時代の種牡馬戦争が勃発。欧州では近年、早々と現役を退く一流馬が多いように、時に競走馬時代よりも莫大な利益をもたらす。後継馬があまたいるディープインパクトとは対照的に終生、同馬としのぎを削ってきたハーツクライは今のところ劣勢だ。これまで成功している種牡馬はジャスタウェイくらいだろうか。

「どちらかというとハーツはスタミナ型。ディープを破った有馬記念から底力は十分にあるが、現代競馬はスピードが不可欠。なかなか大物誕生とはいきません」と牧場関係者が語るように、これから産駒がデビューするシュヴァルグラン、スワーヴリチャードも大成するかどうかは未知数だ。

 そんな中、ジャスタウェイと双璧をなす、いやそれ以上の一流マイラーぶりを示しているのがサリオス。2歳時にはGⅠ朝日杯FSを勝ち、3歳時には皐月賞&日本ダービーで2着した。一方、ジャスタウェイの2、3歳時はGⅢ勝ち(アーリントンC)1つだけ。父の晩成傾向を不運?宿命?として受け継いでいたが、サリオスはクラシック戦線を勝ち抜くための早熟性を備えている。まさに待望といえる完全無欠のハーツクライ産駒だ。この先の成績次第ではジャスタウェイを一気に追い越し、ディープインパクト産駒の牙城も切り崩す可能性を秘めた牧場期待大のドル箱ホースなのだ。

 秋初戦の毎日王冠を圧勝し、勇躍してマイルGⅠへ臨む今回は、久しぶりに臨むベスト条件でのビッグレース。もっとも、1番人気に支持されるのはディープインパクト産駒のグランアレグリア。まだ記憶に新しかろう、今年6月の安田記念でアーモンドアイを破った、あの馬だ。マイルというカテゴリーではGⅠ8勝のスーパーホースすら凌駕するほどの才能の持ち主。こちらも秋初戦のスプリンターズSを快勝して駒を進めてきたが、この馬を負かせば、それこそ種牡馬価値は飛躍的にアップ。今回は我が国の生産界すべてから熱視線が注がれるであろう注目の一大決戦でもある。

 中間の初時計は先月29日(美浦坂路4ハロン56・4―41・7―13・5秒)。今月4日に軽い疝痛を起こしたものの、5日には南ウッドで5ハロン67・0秒の時計を馬なりでマークした。徐々に本来の行きっぷりの良さが戻ってきており、1週前(12日)には古馬3勝クラスのセントレオナードに堂々と1馬身先着(南ウッド6ハロン82・4秒)。春先よりも馬体は洗練されており、確実に完成の域に近づいている。

「2週前が単走だったので1週前は併せ馬を。ゴール板過ぎまで実質7ハロンくらいはやったので息遣いこそ荒かったですが、動きや手応えには余裕がありました。このひと追いで態勢が整ってくるでしょう」と堀調教師は仕上がり過程を説明する。

 今回への見通しについては「阪神コースは朝日杯FSで経験していますし、マイルは一層適性の高い距離。強いレースを見せてくれると思っています」とGⅠ2勝目に向けて確信の口ぶりだ。2番人気での1着なら…。人気サイドの決着でも案外、うまみのある配当にありつけるかもしれない。