【天皇賞・秋】馬匠・渡辺「これだけ強い馬を、強い姿を見ることができた我々は幸せもんだよ」

2020年11月02日 11時45分

2日のレース翌朝には元気を姿を見せたアーモンドアイ。偉業の重みを感じさせる

【渡辺薫&柏木集保「私たちはこう見た」・天皇賞・秋】

 渡辺 無敗の3冠馬が牡牝ともに誕生し、史上初の芝GⅠ8勝馬も誕生した。圧倒的な支持を集めていたから勝って当たり前のムードだったが、並み居るGⅠ馬を相手に堂々たる勝利なのだからアーモンドアイはたいしたものだ。

 柏木 最後は際どかったですけど、上がりの競馬だったので仕方がありません。むしろ非常に見応えのあるレースになりましたね。アーモンドアイ陣営にとっても今回で8勝目を決めたかったでしょうから、素直におめでとうと言いたいです。

 渡辺 昨年の好時計(1分56秒2)からはかなり遅い決着となったが、今年の馬場は時計がかかっているし、5ハロン通過が60秒5の遅い流れだったから問題視する必要はないな。パドックではどっしりと構えていたし、牝馬特有のカリカリとした雰囲気もまったくなかった。完全に完成された印象を受けた。

 柏木 はい。戦前は太め残りという報道もあったようですけど、馬自身はレースが近いことを分かっているのでしょうね。まったく太く映りませんでした。

 渡辺 レースを振り返ろうか。スタートを決めて3、4番手の好ポジションにスッと収まった。このあたりは鞍上のルメールは本当にソツがない。最後はフィエールマン(2着)とクロノジェネシス(3着)に詰め寄られたとはいっても、勝敗が決したあと。まさに完勝だった。舞台設定、良馬場と好条件が重なったとはいえ、これだけ強い馬を、強い姿を見ることができた我々は幸せもんだよ(笑い)。

 柏木 このあとはどこを使うか分かりませんが、さらなる記録更新も期待できますね。

 渡辺 負けた馬たちにも見どころはあった。クロノジェネシスはどちらかというとタフな馬場のほうが合っているタイプとみていたが、坂下からの伸びは素晴らしいものがあった。アーモンドは天才肌だが、こちらは叩き上げ。年齢を踏まえればまだ伸びシロはあるし、この先が楽しみだ。

 柏木 はい。2000メートルの時計勝負でこれだけやれたのだから立派です。十分に力は発揮できたと思います。

 渡辺 フィエールマンは長距離戦のあとだけに後方からとなったが、もう少し器用さがあればアーモンドに肉薄していたかもしれない。

 柏木 熱発明けでしたけど、仕上がりは非常に良かったですね。父ディープの切れ味が遺憾なく発揮できるようなシルエットでした。少しもったいないレースでしたけど、GⅠ3勝の底力を見せてくれました。

 渡辺 その他の馬は離されてしまったな。ダノンプレミアム(4着)やキセキ(5着)は流れが向いた。ダノンキングリー(12着)はいったいどうしたのだろうか…。

 柏木 キセキは往年の走りを踏まえれば、物足りなかった印象です。スカーレットカラー(9着)は33秒台の上がりでしたが、上位3頭はもっと速かったですからね。それにしても史上初ばかり続いて目まいがしそうです(笑い)。