【スワンS】矢作調教師「勝ったかどうか分からなかった」2007年スーパーホーネット

2020年10月31日 09時00分

矢作厩舎の創成期を支えたスーパーホーネット

【松浪大樹のあの日、あの時、あのレース=2007年スワンS】

 三冠制覇の余韻が現在も残っているなか迎える週末。競馬サークルの1週間は本当に早いものですね。ちなみに本日の京都競馬場で行われるGⅡスワンS(芝外1400メートル)は、コントレイルを管理している矢作芳人調教師が最初に勝った重賞レース。2007年のスーパーホーネットでしたね。2着はフサイチリシャールでハナ差の決着。もちろん、僕もその場にいました。でも、これから先の話は数年後に矢作調教師から聞いたものです。

 調教師自身も「勝ったかどうか分からなかった」と語っていたくらいの接戦。真っ先に祝福してくれたのは同じレースにペールギュントを出走させていた橋口弘次郎調教師だったとか。

「まだ分からない」という矢作調教師に対し、橋口弘調教師は「大丈夫。勝っているから」と握手をしてくれたそうです。同じ坂路小屋で調教を見ている間柄(雑談をしている間柄という声もありますが…)ということもあり、これが矢作厩舎の初重賞であることを知っていたんですよね。

 ちなみに坂路小屋を拠点にするにあたり、矢作調教師は小屋のメンバーに「ここで見たいと思うので仲間に入れてください」とあいさつをしたそうですが、橋口弘師は「そこまで丁寧なあいさつをしてくる人間は他にいなかった。彼は従業員を大事にしながら結果も残しているし、いずれは大きい仕事をするかも」と語っていました。10年以上も前の話になりますが、予言は現実になりましたね。リスグラシューが年度代表馬に選出されただけでなく、今年はコントレイルで三冠を達成。予言以上のサクセスストーリーと言えるかもしれません。

 矢作調教師はスーパーホーネットのことを「厩舎の創成期を支えた名馬」と称えています。もちろん、重賞初勝利を決めたメモリアルホースというだけありません。「自分は社台グループの馬がゼロの状態で厩舎をスタートした。これは推測でしかないけれど、彼の活躍によって社台グループを筆頭とした様々な方面から声をかけてもらえた。そう思っている。厩舎の名を広める役割を担ってくれたという意味で感謝してもしきれない」がその理由だとか。

 父はロドリゴデトリアーノ、母ユウサンポリッシュは3戦して勝ち星なしの未勝利馬。馬質の格段に上がった現在の矢作厩舎なら「預かっていない馬」かもしれません。多くの良血馬が入厩し、POGでも大注目されている同厩舎ですが、そのスタートは決して恵まれたものではなかった。同馬はそれを証明する存在でもあるのです。