【天皇賞・秋】スカーレットカラー好調のバロメーターは体重ではなく「物見」

2020年10月28日 17時45分

心身ともに充実ぶりが目立つスカーレットカラー

【天皇賞・秋(日曜=11月1日、東京芝2000メートル)栗東トレセン発秘話】馬体重の発表。これこそがレース前に競馬ファンが一喜一憂する大きな盛り上がりどころです。発表された数字に大きな増減があった馬がいれば、より目を血走らせてその体をチェックするのではないでしょうか。それは競馬記者も同じ。大本命馬が「マイナス20キロ」と発表されようものなら記者室には落胆の声が響いたりします。

 一方で「新聞記者は馬体重にうるさ過ぎる」。取材をしていて、厩舎関係者がそう口にするのを何度か聞いたことがあります。ヨーロッパでは馬体重の発表すらないのが当たり前なのに、日本のメディアは増えた減ったに神経質に反応し過ぎなんだとか…。

「馬なんて直前にボロをするかしないかだけでも数キロ体重が変わるんだから。マイナス体重でもガリガリに見えないなら気にする必要はないし、その反対もしかり。プラス10キロだろうがデブに見えないならそれでいいんだよ」(某厩舎関係者)

 カイバをしっかり食べて調教をバリバリやれているなら、それだけで調子がいい証拠じゃないのか? そこを無視して、ただ数字に振り回されては取材の意味がないのでは? 厩舎関係者からのそんな意見を何度も何度も耳にするうちに、私も馬体重に対する考え方が変わってきました。

「輸送で減る馬なので当日はもう少し軽いと思いますが、今は500キロくらいありますよ」

 これは天皇賞・秋に出走する馬についてのコメントなのですが、皆さんはどの馬のことだと思いますか? 正解はスカーレットカラー。近走は大体470~480キロ台で出走している馬なので、数字だけを聞くと〝太り過ぎ〟に思えますよね。でも、今の彼女の動きは実にシャープ。実際に馬体を見れば、「太い」なんて感想はまず出てこないと思います。

「スカーレットに関しては本当に当日の体重は関係ないと思っていて。フェアリーS(2着)ではマイナス8キロでもしっかり伸びてきたし、逆に3走前の阪神牝馬S(2着)はプラス16キロでも最後の切れっぷりはすごかったでしょ」

 今現在、栗東で500キロ前後を計測している彼女ですが、デビュー時からずっと担当してきた山下厩務員から見れば、「今までにないくらい調子がいい」のだとか。

「前走(クイーンS・3着)は岩田(康)さんがレース後に〝下手に乗って申し訳ない〟とわざわざ謝りに来てくださって。直線で前が詰まった後、外に切り替えたら馬群を割りながら猛追してきたでしょ。レース後、周りの人から“普通あんなんできる!? ダビスタやん”って言われましたよ」

 彼女のストロングポイントは〝ヴィクトワールピサ産駒らしからぬ切れ〟だそうですが、それを引き出しているのは…。

「普通の馬ならヒルんでしまうような狭いところへ入れたってスカーレットはへっちゃら。周りをはじき飛ばすくらいの勢いで上がってくるんです」

 そう、山下厩務員も感心するくらいのメンタルの強靱さ。これが何よりの武器なんですって。

 体重の増減はあまり気にしないでいいというスカーレットカラー。では何が好調のバロメーターになるのでしょう?

「これもまた普通なら“えっ?”って思われるかもなんですが、調教でよく物見をするときは調子がいいんです。たぶん、スカーレットの場合は心に余裕があるときにそうするんでしょうね。この中間もいい感じに物見してますよ(笑い)」

 馬体重に、パドックや返し馬での様子。レース前の短時間に集約される情報は、予想をする上で確かに重要なファクターになると思います。ですが実際に馬に触っていない人間が、それだけで馬の状態を見極めるのはかなり困難。その分、厩舎で仕入れた「トレセン秘話」が役立てば…。そう願ってここにしたためさせていただきました。