【菊花賞】ヴェルトライゼンデ距離延長で見えた「打倒コントレイル」への一筋の光

2020年10月23日 17時10分

草木に囲まれリラックスムードのヴェルトライゼンデ。実にメリハリが利いている

【菊花賞(日曜=25日、京都芝外3000メートル)新バージョンアップ作戦】秋華賞のデアリングタクトに続いて、コントレイルが無敗の3冠馬になるかが焦点の第81回菊花賞。相手探しが賢明に思える状況で、無敗の3冠候補に再び反旗を翻したのが新VU作戦の明石尚典記者だ。9番人気のソフトフルート(3着)に続く乾坤一擲の◎はヴェルトライゼンデ。冷徹なラップ分析と距離延長から導き出された答えは“逆転”の2文字だ。

 走破タイムや上がりタイムは競走馬の能力比較に有用性を発揮する指標の一つ。ただ、こうした数字(データ)だけでは測れないのもまた、競馬の真理だ。

 神戸新聞杯のVタイムは1週前の2勝クラス・小牧特別に0秒6劣る名11ハロン=2分12秒5。数字だけで判断するのならば、小牧特別を勝ったアリストテレスはコントレイルのはるか前方を走っていることになるが…。おそらくそう考えるのは圧倒的な少数派だろう。小牧特別当日は3勝クラス・納屋橋Sでマイル=1分32秒8が飛び出す高速馬場。馬場レベルや展開といった数字に表れない副次的要素と絡めなければ、せっかくのデータも宝の持ち腐れになる危険性をはらんでいる。

 4~5ハロン目が合計26秒1と緩んだ小牧特別に対して、神戸新聞杯の4ハロン目以降は24秒9→24秒4→24秒2→24秒0(2ハロンごとに分割)。走破タイムでは譲っても、ゴールへ向かって徐々に加速していくラップにはやはり条件戦にない品格が漂う。GⅡにふさわしいよどみのない一貫型ラップを、ブレのない自身前後3ハロンラップ(35秒9→35秒6)で抜け出したコントレイル。さすがは無敗の2冠馬とうならされるパフォーマンスだが、自身のラスト8ハロンはナンバー3の1分36秒6。0秒3差をつけた2着のヴェルトライゼンデ(1分36秒3)との間に逆転現象が起こっていた点は見逃せない。

 後半の8ハロンがオール24秒台、それも徐々にスピードを上げる漸進ラップは後方から抜きにくい追い込み馬受難の流れ。いかに最速上がりを叩き出そうとも、直線だけで一気に突き抜けるのは至難の業だ。走破タイムの負債を後半8ハロンラップで回収できているとなれば、11→15ハロンへの距離延長が強烈な追い風となる見方が十分に可能。苦汁をなめさせられ続けてきたライバルへのリベンジに向けて、一筋の光が差してきた。

 神戸新聞杯の平凡な走破タイムに馬場レベル&後半ラップで補正をかければ、最重要トライアルにふさわしいハイレベルレースへと変貌。そして、その中身(個別ラップ)を展開というフィルターに通して浮かび上がってきたのが、本番でのヴェルトライゼンデ逆転の可能性。父ディープインパクトに続く無敗の3冠馬誕生の期待に満ちた京都競馬場がため息で包まれる…。今年の菊花賞はそんな“悲劇”が待っているかもしれない。