【秋華賞・後記】無敗3冠デアリングタクト 無敵ロードはまだ始まったばかり

2020年10月19日 11時46分

やったぜ!!松山=デアリングタクト

 史上初となる無敗の牝馬3冠馬誕生――。18日、京都競馬場で行われた第25回秋華賞(芝内2000メートル)は、桜花賞&オークスを無敗で制したデアリングタクト(杉山晴)が向正面から徐々に外を押し上げて、直線は力でねじ伏せる圧巻の勝利。オークスから5か月ぶりの実戦で一段とパワーアップした姿を披露した。3冠最終戦を振り返り、今度への課題、大いなる可能性を探っていく。

 限定的とはいえファンの入場が再開されたこともあったのか、パドックではイレ込んでオークス時よりも発汗が目立ったデアリングタクト。地下馬道を通る際でもかなりの高ぶりでなかなか気持ちが静まらない姿に「大丈夫なのか?」と思ったファンも多かったはず。

 杉山晴調教師も「装鞍所からパドックまでは春と同じ雰囲気だったけど、それ以降はオークスの時よりもテンションが高くなって心配だった」と振り返ったくらい。レース前は不穏なムードも漂ったが「オークスの時と同じように返し馬を一番最後にしたら、だいぶ落ち着きを取り戻していたのでこれなら大丈夫と思った」。馬場に出てからようやくスイッチオフ。この瞬間、一切の不安が消えた。

「ゲートでガタつくところはあったけど、何とかこらえて出てくれました。内回りということもあって勝ちに行ける位置から競馬をしたいと思っていましたから。4角で手前を替えた時に脚を取られたけど、立て直してからはいい姿勢で走ってくれました。重圧はありましたが、馬を信じて乗るだけと思っていたので」とは鞍上の松山。パドック時に感じた危機を乗り越えたことで、パートナーの能力をしっかりと引き出すことができた。

 レースはマルターズディオサがポンとスタートを出て、他馬も思いのほか先行争いに加わったことで稍重を考えれば前半1000メートル59秒4とよどみのないペースに。加えて金曜からの降雨の影響で内が荒れ、内を通った馬は伸びない馬場状態だった。2番人気リアアメリア(13着)、3番人気ウインマイティー(9着)のライバル2頭は内枠(②番、⑤番)を引いたことで馬場の悪い箇所を通らされて体力を消耗。対照的に⑬番のデアリングタクトは枠番が勝利を後押しする形になった。

 ただ、内回りを意識して積極的にポジションを押し上げて勝ちに行く競馬をして3冠をもぎ取ったのだから素直に強さを認めていいだろう。

 同時に今後の課題がはっきりと見えた一戦でもあった。競馬での折り合い、操作性は春よりも上がっていたのはひと夏を越しての成長だが、テンションはむしろ春よりも高くなっていた。今後は古馬との対戦となり、関東圏への長距離輸送も増える。さらに競馬場へのファンの入場が緩和されれば大観衆、大声援の中で平常心を保てるか、という課題がついて回ることになる。

 今後のローテは未定だが、今週の菊花賞で無敗の牡馬3冠が懸かるコントレイル、天皇賞・秋で芝GⅠ最多の8勝目を目指す現役最強アーモンドアイ、宝塚記念を圧勝したクロノジェネシスなどがこれからのライバルになろう。未対戦のビッグネームとの豪華マッチは大いに盛り上がるはず。それまでに今回露呈した課題を克服できれば…。アーモンドアイ、ジェンティルドンナといった同じく牝馬3冠を達成した名牝に近づいていけるはず。そのあたりは開業5年目で目下、全国リーディング6位の杉山晴調教師の手腕にかかっている。