【秋華賞・デアリングタクト偉業への戦略】最終追い切り 3冠へ人馬ともに万全

2020年10月14日 15時00分

松山を背に馬なりで軽く流したデアリングタクト

【〝闘券〟難波田記者が迫る・デアリングタクト偉業への戦略③】偉業達成なるか――。3歳牝馬によるファイナルステージ・GⅠ秋華賞(18日=京都芝内2000メートル)の最終追い切りが14日朝、東西トレセンでスタートした。最大の注目はむろん、史上初となる無敗での牝馬3冠へと挑むデアリングタクト。オークスから実に147日ぶりのぶっつけ本番となるが、栗東坂路コースで行われた最終追いは? さらにデアリング番記者のジャッジは?

 9月2日に帰厩した直後は490キロ台まで馬体が増えていたことで、最初の2週間は脚元への負担を考慮し慎重に立ち上げてきた。その後は徐々にピッチを上げて3週前から主戦の松山が毎週追い切りに騎乗。ひと追いごとに無駄な脂肪が取れて、ここまで理想的な調整過程を踏んできた。

 総仕上げとなる最終追いは松山が手綱を取って坂路での単走追い。1週前にすでに長めから追ってラストの反応もしっかり確認済みで、ほぼレースへ向けての態勢が整っているだけに今朝は微調整での内容。3馬身ほど前にいたミスニューヨーク(秋華賞出走予定)を目標に、間隔を空けたまま馬なりでのゴールでラスト1ハロンは12・7秒(4ハロン54・7秒)…。反応面でやや物足りなさがあったものの、いつ暴発するかわからない気性面の不安を抱えるだけにこれ以上の負荷をかける必要はないとの鞍上の判断だとみていい。

「あまり負荷をかけずにリラックスして非常にいい追い切りができたと思います。ひと夏を越して力みが抜けて精神面も少しずつ成長してくれている」と松山は順調な仕上がりをアピール。

 一方で若干の不安点を挙げるとすれば全体的に筋肉がつきすぎて、春先の素軽いフットワークから力強さが加わりすぎた印象もある。ただ2年前に秋華賞へ挑んだアーモンドアイがプラス14キロ、昨年のクロノジェネシスは20キロ増で圧勝したように、牝馬の極端な馬体増は不安材料というよりはむしろ進化の証しとみていい。

 同馬にとって京都内回りコースが鬼門と触れていた松山は「春も調教では折り合いがついていたけど、レースに行くとどうしてもイレ込むところがありますからね。枠順などにもよりますけど、とにかくリズム重視で運びたいです。京都の内回りでも今のデアリングタクトなら大丈夫だと思う」とパートナーへ絶大な信頼を寄せる。進化しすぎたゆえの不安はあるものの、人馬ともに万全で送り出せるのは間違いない。

【追い切り】主戦の松山が騎乗して3週続けてウッドで負荷をかけてきたので、直前は坂路で感触を確かめる程度の内容。4ハロン54.7秒と牝馬3冠が懸かった大一番の最終追いとしては時計、動きとも迫力を欠いた。それでも馬体は480キロ台とひと回り大きくなってトモのラインも厚みが増した。折り合い面でも進境が見られ、心身ともに春先より成長している。サラブレッドとして完成の域に近づいてきた印象だ。9月上旬に帰キュウしてからここまで陣営の描いた通りのメニューをしっかりこなせており、仕上がり面の不安はまったくない。