【秋華賞】「キ甲が抜けた」ミヤマザクラ牡馬並みに成長

2020年10月14日 17時00分

遠目からでも成長が見て取れるミヤマザクラ。持続力を生かせれば

【秋華賞(日曜=18日、京都芝内2000メートル)栗東トレセン発秘話】毎週トレセンで取材をしていると麻痺しがちですが、この業界は専門用語であふれています。もともと“競馬知識ゼロ”だった立場から言わせてもらうと「ハミ」「トモ」といった頻出用語ですら、一般的にはなじみがない言葉かと。

 それに意味は何となく分かっても、感覚的には理解しづらい言葉もたくさんありますよね。例えば「馬がフワフワする」。これ、実際はどんな感じなのか、馬に乗っている人しか分からないのではないでしょうか。

「馬は本気で走るとき、耳を後ろに伏せているでしょ? あれは乗り手に注意を向けているんです。対してフワフワしてる馬は耳を立てたり、ピョコピョコ動かしたりして、完全に注意力散漫なのが分かります。乗り手の感覚で言うなら“のれんに腕押し”って感じ。馬が人間の存在を忘れているので、必死で追ってもウンともスンとも言わないんです」

 見た目で分かるしぐさと乗り手からの感覚…この両方を教えてくださったのは松永幹調教師。そう聞くと、馬に乗った経験がなくても何となく理解できる気がします。
 そんな感じで専門用語が日常的に飛び交うトレセン。実は最近もようやくある言葉について「ハッキリ分かった!」と思う瞬間がありまして…。

「春とは体つきが全然違うでしょ。キ甲が抜けたんですよ」と馬体を見せながら教えてくれたのはミヤマザクラを担当する田中助手。キ甲が抜けるとは、馬の首と背の境にある膨らんだ部分がハッキリとしてくること。ここ半年ほどのミヤマザクラの変化はかなり顕著でした。横を向いた時のシルエットが別馬のようなんです。

「背も高くなりましたよ。ひと夏を越して帰ってきたとき、思わず“サク(ミヤマザクラのあだ名)、お前大人になったなあ”ってつぶやいちゃいました」

 トレセンで遠くから見かけたときは“かわいい馬だな”と思っていたミヤマザクラ。芦毛のため筋肉や馬体の張りが分かりづらいのですが、近くで見ると馬房が小さく見えるほどのド迫力! パンパンの馬体なんです。

「1週前に(福永)祐一が乗ってくれた時、“この子もう牝馬じゃないよ! 乗り心地で言うならコントレイルよりも牡馬っぽい”って。お世辞かもしれないけどさ、俺も今のサクは牝馬には見えないんだよね」

 その秘訣は彼女のトレーニングメニューにもあるようで…。厩舎を代表するくらいハードな調教を積んでいたというGⅠ3勝馬ストレイトガールとほぼ同じメニューを、平気でこなしているそうです。オークス(7着)の時は道中でハミをかんでしまっていたようですが、肉体とともに精神面の成長も感じる今なら、より力が出せるのではないかと田中助手も期待しているんですって。

「無敗馬がいるので楽ではないです。この馬自身の成長はすごいと思っていますが、もちろん向こうも成長しているでしょうから。春の時点での差が縮まっているのか、離されてしまっているのか、もしかすると逆転しているのか…。それはレースに行ってみないと分からない。楽しみだなあ~とは思ってます」

「キ甲が抜ける」お手本にしたいくらいの成長を遂げているミヤマザクラ。田中助手によると“写真を撮られるときはかわいこブリッ子する”そうですが、秋華賞では牡馬が一頭交じってる!?と間違いかねない姿を見せてくれると思います。そんな彼女が大波乱を起こしてくれる気がしてなりません。