【毎日王冠】サリオス完勝!数字には表れない「サイボーグ的な強さ」とは

2020年10月12日 10時45分

横綱相撲で古馬勢を一蹴したサリオス(右)。マイルから中距離で頂上を狙える馬だ

 11日、東京競馬場で行われたGⅡ毎日王冠(芝1800メートル)は、単オッズ1・3倍の圧倒的な支持を集めたサリオス(牡3・堀)が勝利。春の牡馬クラシック2冠ではコントレイルに屈したが、初の古馬相手の重賞だった今回で改めて、その実力をアピールした。これからどこへ向かうのか? レースを振り返ると同時に同馬の今後を探る。

 春の激戦の疲れを癒やすべく、または斤量的に夏場の重賞に出走できないGⅠ馬たちによる下半期の始動戦。長らく、毎日王冠は秋の風物詩としてGⅡという看板以上の威厳を示してきたが、今年は57キロ以上の馬がゼロという、まれに見る実績馬不在の争いになった。そして、問答無用の強さで古馬たちを撃破したサリオスは、1分45秒5(稍重)という走破時計からしても「2つ目のビッグタイトルは目前」とは言い切れない状況ではある。

 そう努めて冷静に分析したところで、来るビッグレースへの期待感を抑えようがない。同世代のサトノインプレッサが大きく出遅れたのとは対照的に絶好のスタートを切る。鞍上が促すわけでもなく、そして行きたがるわけでもなく、5ハロン通過58秒0で飛ばしたトーラスジェミニから1秒ほど後ろの、いわばウイナーズポジションをキープ。まるで馬自身が前半で刻まれるラップを把握していたかのように…。レース後、ルメールの「完璧なレースでした」との言葉を待つまでもなく、非の打ちどころのない走りっぷりだった。

「いいスタートを切って、すぐに内田さん(ダイワキャグニー)の後ろに。このポジションなら勝つな、と。道中は冷静に走れていたし、直線ではこの馬のパワーを感じることができました。坂までは我慢して、ちょっとずつ加速しました。ただ、今日の馬場は緩かったのでゴールまで集中しました」と満面の笑みで振り返ったルメール。まるで“ボクは乗っていただけ”と言わんばかりだ。

 このサリオスの緻密な、サイボーグ的な走りは数字に表すことはできない。しかし、これこそが同馬の強さ。皐月賞や日本ダービーは勝負どころで壁になったり、外々を回らされる不利があった。いまだ能力の頂を見せておらず、ましてや今後、同馬が向かうであろうマイル~中距離ではなおさらだ。いったい誰が、サリオスが凡走するシーンを脳裏に描くことができようか。

 低調な3歳世代とささやかれている昨今だが、コントレイルと同様、サリオスも歴史的な名馬になる可能性は決して小さくないだろう。次走はGIマイルCS(11月22日=阪神芝外1600メートル)か、香港国際競走(12月13日=シャティン競馬場)に向かう予定だ。