【GⅠスプリンターズS】モズスーパーフレアが大逃走 音無師「パワーあるし中山が最も合う」

2020年09月29日 11時30分

モズスーパーフレア

 競馬の戦法はいろいろあるが、「迷いなき逃げ」こそ、最強のスタイルと言っていいのかも…。昨年、わずか半馬身差で栄冠を逃したモズスーパーフレア(牝5・音無)が、第54回スプリンターズS(10月4日=中山芝外1200メートル)で狙うのは逃走劇の完遂。確信を持ったローテーション&競馬スタイルで臨む快速馬の進撃を阻めるものは何もない――。

「持ち味のスピードを生かす競馬をさせるだけ。速い時計の決着になってほしいと思っている」とはモズスーパーフレアを出走させる音無調教師。

 明確なスタイルが確立されると、迷いはなくなる。同型がどれだけ競り込んでこようとハナを譲る気はないし、逆に楽な逃げが可能になろうとも道中のラップを落とす気はさらさらない。今秋の中山開催は例年よりも時計を要してる? それでもやることは一つ。「タイムアタック」に持ち込むだけだ。

 ただし、モズスーパーフレアの“決めごと”はハナにこだわる、競馬のスタイルだけではない。

 今年2月のシルクロードS(4着)が解説例には最適だろう。単にハンデを背負うだけでなく、直線平坦のコースもそこまで得意ではない。加えて今冬の京都芝は過去最高レベルに馬場が重く、速い時計が出なかった。要は高速決着でこそ本領を発揮するモズスーパーフレアに適していない一戦だったことは明らかだ。それでも参戦を決めた理由について音無調教師はこう口にしている。

「シルクロードSよりも(3月の)オーシャンSのほうが条件がいいのはわかっていた。実際に昨年は強い勝ち方をしているわけだからね。でも、この馬はレース間隔を空けてあげないと走れない。それは以前から思っていたことだったんだけど、オーシャンSを勝って挑んだ昨年の高松宮記念でそれがハッキリした」

 キャリアを積んだモズスーパーフレアが確立したもう一つのスタイル。それは「間隔を空けたローテーション」にほかならない。

 中2週以内での強行軍はキャリア21戦中わずかに4戦。その内訳は<0013>と散々なものだ。特に武豊を鞍上に配して挑んだ昨年の高松宮記念は15着大惨敗。レース後には「まるで別の馬のようだった」と言われてしまっては…。ゆえに在キュウでの連戦は昨年の高松宮記念が最後。それは今年の高松宮記念を勝って、ワンランク上の扱いを受けるようになっても、何も変わっていない。

 今回の前哨戦に北九州記念を選択した理由もここにある。条件的にはセントウルSのほうが明らかに適したレースであり、実際にGⅠ級はこの一戦から始動するケースがほとんど。それでもモズスーパーフレアは中5週を確保できる、適度なレース間隔を優先させた。

「ハンデを背負っていたことを思えば、北九州記念の内容や結果(前半3ハロン32秒4のハイラップで逃げて0秒3差2着)は悪くないものだった。放牧を挟んで本番に臨むのも昨年と同じローテーション。休み明けの前走は少し余裕を持たせた仕上げ(前走比14キロ増の508キロは過去最高の馬体重)だったし、今回のほうが粘りも増してくると思う。直線の長い中京はもちろんだけど、京都や小倉のようなコースもそこまで得意ではなく、最も合うのは中山。逃げ馬だけどパワーがすごいので、ゴール前に坂があっても大丈夫なんだろう。今回は有力どころに差し馬が多いみたいだし、粘り込みがあってもいいと思うよ」

 結果的に今年の高松宮記念を制し、GⅠ馬の仲間入りを果たしたが、以前から「スプリンターズSこそがGⅠを勝つチャンスのあるレース」と常々、口にしていたくらい。それは中山が得意コースというだけでなく、状態面のプラス要素も見込めるため。びっしりと冬毛が覆い、ぬいぐるみのようになってしまう冬場と違って、夏から秋口までは馬体の張り、毛ヅヤともに良好で硬さも取れる。

 攻め駆けするモズスーパーフレアからすれば、1週前追い切りの坂路4ハロン50・2―12・3秒は“脚慣らし”のようなものだが、気配の良さは高松宮記念時をはるかに上回っているように見えた。昨年0秒1差2着の雪辱=スプリントGⅠ連勝の可能性はかなり高いのではなかろうか。